トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > インタビュー  > チョコプラが語るYouTubeという“実験場”

チョコプラが語るYouTubeという“実験場” 製作費は破格の平均2万円! お笑いと動画配信の親和性

チョコプラが語るYouTubeという実験場 製作費は破格の平均2万円! お笑いと動画配信の親和性の画像1
(写真/宇佐美 亮)

──今やテレビで見ない日はないんじゃないか級の人気を誇るお笑いコンビ・チョコレートプラネット。これだけのテレビ露出があるのに、彼らのYouTubeチャンネル「チョコレートプラネット チャンネル」での動画配信は積極的、かつ継続的に行っている。その理由とバイタリティ、引いては芸人における配信の醍醐味を問うてみた。(月刊サイゾー3月号より一部転載)

 現在(2月5日時点)約86万人の登録者数を抱えるYouTubeチャンネル「チョコレートプラネット チャンネル」。17年に公開された「クイズショー」のネタ動画からスタートし、コンスタントに更新している。しかも、DVDなどに収録されている過去のネタをチャンネルにアップするだけではなく、新たに制作したオリジナルの動画である。テレビで見ない日はないんじゃないか級に多忙を極めているのに、そのバイタリティは、まさに恐れ入るレベル。そんな2人に「芸人と動画配信」のあれやこれやを直撃した。

──そもそもYouTubeで「チョコレートプラネット チャンネル」始めた経緯から教えてください。

長田庄平(以下、長田) 僕らのDVDに収録されている動画が違法にアップされていて、しかも再生回数がいい感じに伸びていることが腑に落ちなかったんで、だったら僕らがオフィシャルのチャンネルを作ってアップすれば収益も入ってくるだろう、ってことで始めました。あとはテレビ局でネタのオーディションをやることがあるんですけど、何本もネタを見せるためには、その本数分の衣装や小道具を持参しなくちゃいけない。それが難しいんで、「ネタをチャンネルにアップしておく」っていう使い方もしてます。そのおかげでディレクターさんとかから「YouTubeで見たんですけど」って連絡をもらえたり、こっちから「YouTubeで公開してます」って伝えることもできるんで、結果的にオーディションに行く時間も省けてるんですよね。

──そういったオフィシャルのチャンネルを開設している吉本興業の諸先輩方もいますが、チェックはしていますか?

長田 (オリエンタルラジオ)中田(敦彦)さんのチャンネルはめちゃくちゃ見てますね。教養系のチャンネルが好きなんですよ。あとは水槽を作ってるだけの動画や癒し系の動画とか。

松尾駿(以下、松尾) 僕は誰のも見てないです。

──それは自分たちのチャンネルのコンテンツを作る上で、余計な先入観を持たないように?

松尾 いや、まったく興味ないっす(笑)。そもそも僕の場合、YouTubeはミュージックビデオを見たり、音楽そのものを聴いたりするために使ってますね。

──吉本に限らず、石橋貴明さんや江頭2:50さんなど、著名なお笑いタレントの方々も続々と参入していますが、そのへんも気にはならず?

長田 逆にそこまでいっちゃうと見ないですね。意識することもないので。

──動画コンテンツを制作する際、参考にしているものはありますか?

長田 ほとんどないですね。とりあえず単純に「やってみよう」と思ったことを形にしているだけで、収益に関しても意識しないようにしてるんですよ。そこを意識しすぎるとブレちゃうと思うんで。ホント思いつきで「面白そうだな」ってことをやるコンセプトで、エッセンスとして取り入れるのは、YouTube上で流行ってることのパロディとかですかね。

──ある種、テレビよりも自由度の高いコンテンツを制作・配信できるYouTubeですが、放送作家や演出家は介入しているのでしょうか?

長田 作家がひとり、映像編集を担当するディレクターがひとり入っていて、ネタは全部僕が考えてます。

──ひとつのコンテンツを制作するうえでの製作費は?

長田 人件費を入れると……え、どんくらいだろう。人件費を入れないのであれば、5万円くらいかな? でも、1万もかからないときもあるからなー。

松尾 平均で2万円いかないくらい? 1回の撮影で5~6本、1カ月分を収録したりするんで。

──これまで配信した動画の中で、一番お金がかかったものとなると?

長田 開設初期に「わらび舞妓ちゃんバブルサッカーに挑戦!」(17年9月公開)ってのを配信したんですけど、それがサッカー場とバブルサッカーのレンタルで10万円くらいだったかな。僕としてはYouTubeチャンネルは“実験場”というコンセプトなんで、基本製作費は抑えつつ、何かハマるものがあったら、お金はかけてもいいかなって考えですね。

──収益は意識していないとのことですが、実際どのくらいの利益が生まれているのでしょうか?

長田 YouTubeチャンネルの運営だけで食えるくらいの収益は出てますね。いわゆるYouTuber的な額は稼げてないけど、普通のサラリーマンくらいの給料は稼げてるんじゃないかな。あと、何が原因かわからないんですけど、登録者数のわりには再生回数のバラつきが目立つんですよ。動画によってえらく差が出る。それが気になるっちゃ気になることですかね。

──確かに、チャンネルのレギュラーコンテンツとして5分間のラジオ的な動画配信「チョコプラのラ」(1月13日配信)で「73万人(※当時)登録者がいてもファンは20人じゃないか」「70万人以上の登録者がいたら、平均20~30万再生されるはず」と言っていましたよね。

松尾 これはホント昔からずっと言ってることで、劇場でライブやってるときも感じるんですよ。テレビの露出はやたらあるのに、いわゆる投票系にもまったくランクインしない芸人なんですよ、僕ら。とにかく人気がない。

長田 全国をまわる単独ライブをやれば完売もするし、その人気は間違いなくあるんですけど、「好きなお笑い芸人ランキング」みたいな人気投票をやると、まったくランクインしてこない。なので「ファン」はいないんだけど「客」は持ってるんですよ、僕ら。ファンの人って、基本無償の愛じゃないですか。でも、僕らのチャンネルを登録してる人たちは、きっと対価がないと何もしてくれない人ばっかりなんだと思います。

松尾 たぶん、チャンネルを登録していて、YouTubeのホーム画面に僕らの新着動画があがってても、サムネで「面白くなさそ」って判断して見ない人、あるいはチャンネル登録したことすら忘れてる人たちばっかりなんだと思います。

チョコプラが語るYouTubeという実験場 製作費は破格の平均2万円! お笑いと動画配信の親和性の画像2
バラエティ番組の企画としても採用された「悪い顔選手権」。400万回を突破する再生回数も納得の企画力!((C)チョコレートプラネット チャンネル)

長田 動画の編集や目を引くサムネ、わかりやすくロジカルに作ってるつもりなんですけど、なんかヘンなんですよねえ。とはいえ僕らは芸人であってYouTuberではないので、再生回数が低くても、ある程度バズってもらえてテレビ出演や新しいビジネスにつながる還元があれば、それでいいんですよ。実際に「悪い顔選手権」(20年11月公開)とかテレビで企画として採用してもらったり、(瑛人の)「香水」の再現動画(20年6月公開)がバズったときなんか、それだけでかなりテレビ出演があったし、そういったことも含めて実験場なんですよね(※「香水」の再現動画は2月5日現在で約3500万回再生)。

松尾 長田さんはそんな感じですけど、僕はもう日頃の不平不満のはけ口ですね。チャンネル自体も仕事がないときに始めてるんで。ラジオ番組をやりたいのにやれないからYouTubeでラジオを始めたり。つまり、「チョコレートプラネット チャンネル」の原動力は、僕らの行き場のない怒り、「なんであいつらが人気で、俺たちは人気がねえんだ!」というネガティブの集大成です。

長田 まあ、それもあるかもしれないけどさ(笑)。テレビじゃできないネタをやったり、やりたいけどやらせてもらえないネタを公開する場でもあるからね。

──すると、そのネガティブな要素が引き金になったからこそ、開設当初は高評価/低評価ボタンの設置、コメント欄を解放していなかったんですか?

長田 確かにネガティブからスタートしたんで、視聴者からああだこうだ言われるのがうっとうしくてオープンにしてなかったですね。こっちがやりたいことやってるのに低評価の数のほうが多かったり、コメントで「面白くない」とか言われるのもシャクじゃないですか(笑)。

松尾 チャンネルでラジオ番組を始めて、視聴者からおたよりを募ったんですけど、本来だったらコメント欄とかで募集すればいいじゃないですか。それをあえてハガキで送らせたりしてたんですけど、にも関わらずそのハガキの内容に文句を言ったりして、ホントどうしようもない対応ですよね、僕ら(笑)。それで毎回「ハガキ、送ってね!」ってラジオで言ってたんですけど、ある時「そんな態度じゃハガキすら届きませんよ。コメント欄を解放すればいいじゃないですか」ってハガキが届いて。それでコメント欄をオープンしたような気がします。

長田 うん、最終的には面倒くさくなって解放したような気がする。

──それに伴い、高評価と低評価ボタンは、18年7月23日に公開された「飛田勇のテニスレッスン」から設置されてますが、実際に低評価の数が高評価を上回ったり、ネガティブなコメントは寄せられたんですか?

長田 それが思いの外、平和なコメントばかりだったんですよ(笑)。コメント欄を解放して視聴者もチャンネルの雰囲気に慣れてくると、公開した動画の設定に乗っかってくれて大喜利を始めてくれたりして。

松尾 そうなんだよね。逆に「なんだよ、ちゃんとしてんじゃねえか!」って思いましたもん。僕としてはネガティブなコメントを見てエネルギーに変える準備をしていたのに。

長田 どうしたいんだよ(笑)。

松尾 だって、やっぱ心のどこかでは「アンチっぽいコメント、読みたいのに~!」って気持ち、あるじゃないですか。まあ、あったらあったでゴミでしかないんですけどね、そんなコメント。タダで見れるものに対して文句を言ってくる連中は、みんなゴミなんです。ゴミ屋敷ですよ。でもほら、ゴミ屋敷って見たらテンション上がるじゃないですか。そんな感じ。

長田 だからどうしたいんだよ、もう(笑)。

12
ページ上部へ戻る

配給映画