トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『コントが始まる』が描く売れない芸人の“リアル”

『コントが始まる』が描く売れない芸人の“リアル”な苦悩

『コントが始まる』公式サイトより

 下積み時代を経てのし上がってきた芸人が、バラエティ番組などで売れなかった頃のエピソードを面白おかしく話すことがある。そのエピソードは「虫だらけのボロアパートに住んでいた」「バイトでお客さんの残したものを盗み食いした」など、思わず笑ってしまうようなものばかりだ。その愉快なトークを聞いていると、芸人という生き物は、苦境に立った時でも喜劇のような人生を送っているのだと思ってしまう。

 しかし、現在放送中の土曜ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)で描かれているのは、売れない芸人の“リアル”だ。マクベスは、高校の同級生である春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)の3人によって結成されたお笑いトリオ。結成10年目を迎え、鳴かず飛ばずの日々を送る彼らは、解散と継続の間で揺れ動いている。

 彼らを見ていると、売れない芸人というのは想像以上にきつく、陽気ではないということがひしひしと伝わってくる。ここで描かれているのは、苦労や苦悩が笑い話に昇華される前の物語。まさに売れない芸人のリアルなのだ。

「一応、芸人」という中途半端な肩書きがプライドをズタボロにする

 潤平が高校時代に仲良くしていた後輩が、職場の先輩とともに潤平のバイト先に遊びに来たときのことだ。潤平が芸人だと知った先輩たちは、「なんか一発ギャグやってよ!」と無茶振りをする。明らかに見下されていると感じた潤平は、どう対応するべきか困惑していると、「ぱっとやってくれればいいのに」「あれじゃ売れないわ」と嫌味を言われる。後輩にかっこ悪い姿を見せてしまったこと、芸人ではない一般人にバカにされたことで潤平のプライドはズタボロになり、バックヤードで憤怒するのであった。

いつの間にか出世して結婚している同級生

 高校時代の同級生が経営する会社のイベントにて、司会役の仕事を貰ったマクベス。春斗が打ち合わせに足を運ぶと、同級生は煌びやかな会社でしっかりと社長を務めていた。すでに結婚して家庭もあるという。マクベスが夢を追い続けている時、同級生は地に足を付けて着実に大人への階段を上っていたのだ。それに対して潤平は、高校生の頃に同級生の彼女を奪ってしまったことを今でも気にしている。それを春斗が同級生に伝えると、「高校で時止まってんじゃねえの」と笑われてしまい、春斗は愕然とした。

「ああはなりたくない」と思っていた先輩がふいに自分と重なる

 マクベスが活動し始めて間もない頃、よくイベントで一緒になる先輩コンビが、解散・継続を巡って大喧嘩をしていた。それを見て、「ああはなりたくない」と思った若き頃のマクベス。しかし今彼らは、深夜のファミレスで声を荒げてあの時の先輩たちのように大喧嘩をしている。もちろん、解散・継続を巡ってである。なりたくなかった姿になってしまっていることにふと気が付き、ショックを受けるのだった。

 少々綺麗なアパートに住んでいるところや金銭的に困っていなさそうな点はツッコみたくなるが、メンタル的な面では、売れない芸人のリアルをこれでもかというくらい綿密に描いている。この苦しさも、いつか笑い話にできる日がくるのだろうか。それは彼らが「解散と継続」どちらを選ぶかにかかっているのかもしれない。

■番組情報
土曜ドラマ『コントが始まる』
日本テレビ系毎週土曜22時~
出演:菅田将暉、有村架純、神木隆之介、仲野太賀、古川琴音、鈴木浩介、伊武雅刀、松田ゆう姫、明日海りお、小野莉奈、米倉れいあ(821)ほか
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE / Warner Music Japan)
音楽:松本晃彦
脚本:金子茂樹
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2021/05/22 18:00
ページ上部へ戻る

配給映画