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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 中村アン、演技派女優としての可能性

中村アン『着飾る恋には理由があって』で見せた女優としての可能性

『着飾る恋には理由があって』
『着飾る恋には理由があって』公式サイトより

 川口春奈横浜流星が送る“胸キュン”火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)。5月11日に放送された第4話の世帯平均視聴率は7.8%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)と、第3話から1ポイント上げてきた。決して安心できる数字ではないが、そんな視聴率アップに一役買ったと思われるのが女優の中村アンの好演だ。

中村アン、キャラ作りに迷走していた過去

 中村アンはモデル出身の女優であるため美貌はお墨付きだが、それだけで生き残っていけるほど甘くないのが芸能界。梨花や辻希美、ローラや滝沢カレンなど、美貌とバカさのギャップを売りにしたタレントが世代を超えて現れているように、中村もプラスアルファの“クセ”があったほうがウケやすいと考えたのだろう。かつては“毒舌&不潔モデル”であることを前面に出し、バラエティ番組で一斉を風靡していた過去がある。

 不潔というイメージでまず上がるのが、中村自身の「髪は2~3日洗わない」発言だ。前髪を無造作にかきあげたようなロングヘアーはかつての中村のトレードマークであったが、その髪型が女性の間でヘルシーでおしゃれと評価されていた一方で、バラエティ番組では男性タレントに頭皮の匂いを嗅がせて「おっさんのニオイ」と冷やかされていた。また、ライバルである女性タレントに対して「ブス」と毒舌を吐いたこともあり、その歯に衣着せぬ発言には好みが分かれていた。

目指すは梨花? “着飾り”を脱いで目指す演技派女優

 しかし先人たちを見れば、美貌にインパクトのある物言いを合わせても、出オチする可能性のほうが高いことは明らか。となると次に必要になるのは「キャラ変」だ。例えば前述の梨花も、現在ではその自然体な生き方が女性の憧れの的となっており、昔のおバカキャラは見る影もない。そんな諸先輩方の見事な舵切りが同じくモデル出身の中村に影響を与えたかは分からないが、2015年ごろからバラエティ番組にはぱったり顔を見せなくなり、中村は女優業へ舵を切った。

 苦心した甲斐あってか、中村のキャラ変は成功した。『着飾る恋』の第4話では、夢と現実にかき乱される羽瀬(中村アン)の心中を見事に表現。特にラストの表情は、妊娠検査薬で望んでいた結果が出た安堵感と、結果にホッとしてしまった自分への罪悪感、好きだった人と本当に終わってしまった寂しさなどが複雑に入り混じった涙が美しく、視聴者を泣かせた。

 『着飾る恋』への出演前にはトレードマークだった髪を30センチ以上切って、現在の中村からは心身ともに目の前の役柄へ入れ込む誠実な女優魂を感じる。かつての毒舌や不潔キャラは、彼女なりの“着飾り”だったのだろうか。「着飾るという鎧を脱ぎ捨て自分らしく生きる姿を描く」を掲げたドラマへの抜擢に、中村アン自身思うところがあったかもしれない。

■番組情報
火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』
TBS系 毎週火曜日22時~
出演:川口春奈、横浜流星、丸山隆平(関ジャニ∞)、中村アン、山下美月(乃木坂46)、高橋文哉、向井理、夏川結衣、飯尾和樹(ずん)、赤ペン瀧川、木本夕貴ほか
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、棚澤孝義、府川亮介
プロデューサー:新井順子
音楽:神山羊、兼松衆、田渕夏海
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikazarukoi_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/05/18 18:30
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