北川景子が『リコカツ』で体現するルッキズム問題…“容姿が良い側の人間”が抱える苦悩とは
#北川景子 #永山瑛太 #リコカツ
女優の北川景子が主演を務めるドラマ『リコカツ』(TBS系)の第5話が5月14日に放送される。第4話は主人公・咲(北川)の父親役だった俳優の佐野史郎が体調不良により緊急降板、平田満が急遽代役として初登板するということで注目を集めていた。それもあってか第4話の世帯平均視聴率は8.9%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)と前回より1.3%アップ。佐野が好演していただけに違和感が心配されていたが、平田は作品にすんなりと溶け込み、良い意味で裏切られた視聴者から「さすがベテラン!プロの仕事を見た気がした」など称賛する声が多数上がっていた。
今回の交代劇は致し仕方ないことで、ただ佐野の快復を祈るばかりだが、そもそも制作陣にとって配役決めは作品の成功に関わる大事な問題だ。『リコカツ』は主演に北川、その夫役に永山瑛太を起用するため、2人のスケジュールが合うまで3年もの月日を要したという。制作陣にとってこのドラマのヒロインは北川でなければならなかったのだ。そこには、離婚問題だけでなく、本作の裏テーマともいえるある問題が絡んでいるように思える。
本作は出版社に勤める美人編集者・咲と自衛官の緒原紘一が、運命的に出会いスピード婚をするも、すぐに離婚問題が勃発してしまう、という“離婚から始まるラブストーリー”。主役の2人に加えそれぞれの両親らも離婚問題を抱え、各家族のトラブルを通じて現代における結婚や家族のあり方、熟年離婚問題が描かれている。だがその本テーマの裏には“ルッキズム”(外見至上主義)の問題も隠されているようだ。
“なりたい顔ランキング”常連の北川景子が体現するルッキズム問題
作中で咲は幼い頃から容姿が良いことで友達に妬まれたり、職場でがむしゃらに仕事をしても努力が評価されず、美人だから贔屓されていると後輩に非難されるなど、悩みを抱える姿が度々描かれてきた。第4話でもわがままで毒舌な人気恋愛小説家・水無月連(白洲迅)に担当を指名されるが、その理由を問うと、ただ一言<顔>と言われるシーンがあった。ルッキズムとは外見的な善し悪しで人を評価する考え方のことで、容姿による差別問題のこと。本作を見た視聴者からも「逆ルッキズムの闇だ」「容姿が良い側の人間が抱えるルッキズム問題」などとこの裏テーマに言及するツイートがいくつも見られる。
北川といえばORICONが毎年発表する「女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング」で2年連続首位を獲得するほど誰もが憧れる美貌の持ち主。そんな美人すぎる北川も、その外見ばかりが取り上げられ女優として大切なはずの演技に関してはさほど触れられないこともあり、役に重なる部分がある。だからこそ、この役は北川でなければならなかったのだろう。
例えば、現在『恋はDeepに』(日本テレビ系)で主演を務めている石原さとみも「女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング」の常連のひとりだが、石原と比べてみてもこの役は北川がしっくりくる。それは北川が真面目でストイックな努力家なイメージが強いからかもしれない。その謙虚な人柄から好感度も高い北川。視聴者にとっても咲=北川でなければならず、制作陣の狙いは成功だったと言えるだろう。
学校でも職場でも、容姿に対する差別は根強い。容姿が良い側であっても、思い悩み心ない言葉に深く傷つくことは同じだ。第4話で咲はわがままな無理難題を投げかけてきた水無月に担当編集者として有能な働きぶりを見せ、<意外。ちゃんと仕事するんだ。顔だけだと思っていた>と認められ、<褒め言葉と受け取っておきます>と返すやり取りがあった。容姿の差別はなくならないが、努力で評価を変えることはできる。
第5話では咲と紘一はリコカツを中止し急接近するが、互いの仕事の事情から意見が真っ向から対立してしまうという展開。2人の今後を案じつつ、咲の抱えるルッキズム問題を本作ではどのような着地点に導くのかも注目していきたい。
■番組情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系・毎週金曜午後10時~
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲 迅、宮崎美子、酒向 芳、三石琴乃、平田満 ほか
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄、鈴木早苗、韓 哲、小牧 桜
プロデューサー:植田博樹、吉藤芽衣
音楽:米津玄師
製作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/rikokatsu_tbs/
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