再ブレイク中の「もう中学生」、ルール無用のマイルール「黒砂糖ビルってどういうことだろうな…」
#若槻千夏 #テレビ日記 #もう中学生
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月2日~8日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
若槻千夏「私の中では“MCクリア”なんですよね」
マスメディアの情報発信には何らかの狙いがある。ということを、私たちはよく知っている。メディアリテラシーとかを説かれる以前に、感覚としてすでに持ち合わせている。
だからバラエティ番組であれば、「どうせ台本でしょ」という言い方で私たちは芸能人の言動を処理することがある。直接誰かに語ったり、SNSに書き込んだりするかどうかはともかくとして、そういう考えが頭をよぎったりする。
確かに、多くの番組には台本や演出があるのだろう。台本がないことを謳っている番組であっても、そこには出演者の意図や、出演者同士の呼吸や、スタッフによる編集などはある。何らかの筋書き、広い意味での“台本”がそこにはある。特定の狙いに基づく情報発信から逃れられるわけではない。
ただ、見る側がすべてを台本や演出として片付けていったとき、番組が表現しようとする“面白い”は減退してしまう。そこに、面白く見せようとする狙いを感じ取ってしまうからだ。
だからだろう。現在のバラエティ番組の中で「お笑い濃度が高い」と言われるような番組は、少なからず「番組に台本があることを視聴者はよく知っている」という前提で作られているように見える。
番組や企画によっては、それは台本の上で芸人やタレントがいかに立ち振る舞うかを見せる形をとる。5日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、無理のあるヤラセをスタッフから提案された若手芸人はそれに乗るのか? といった検証をしていたけれど(見事全員乗っていた)、この番組のこの手のドッキリ企画が典型的だろう。
あるいは、芸人やタレントが自分たちの手の内や生存戦略を語る番組や企画も多い。たとえば、『あちこちオードリー』(テレビ東京系)。5日の放送には若槻千夏がゲストとして出演していたのだけれど、彼女いわく、芸人と一緒に仕事をすると「この人は絶対将来MCになるんだろうな」と感じることがあるという。特にそれを感じるのは、「裏回し」がうまい芸人らしい。
「たとえばですけど、俳優さんとかジャニーズの方がMCのときに、そこで呼ばれる芸人さんとかって裏回しが頼まれてるじゃないですか。その裏回しが私が読んでる台本通りだと、『この人(台本が)全部頭に入ってて仕切れんだ』とか。『この人、頼まれてること全部やってる』と思って、私の中では“MCクリア”なんですよね」
芸能界に本格復帰して以降の彼女はしばしばこんな感じで、現在のテレビ番組にある不可視のルールを分析し、そのルールの上での自身も含めた芸能人たちのポジショニングをテレビで語る。若林正恭(オードリー)は、そんな彼女の一連のトークに「もう編成の人だよ」などとツッコミを入れ笑いに変えていた。
台本の上で踊るさまを見せたり、台本の上での踊り方を語ったり。台本の存在を明確に前提とすることで、芸人やタレントの振る舞いはテレビ番組の予定調和にいかに対峙するかという次元に移行する。台本の上でのパフォーマンスがドキュメンタリー性を帯びたエンタメになる。番組は改めて“面白い”に近づいていく。
ところで「裏回し」ってなんだ。芸人と若槻千夏(的なタレント)の間でいつの間にか当たり前のように使われているこの言葉。私は実のところよくわかっていないけれど、よくわかっていないぐらいがいいのだろうとも思っている。これ以上考えると、「どうせ台本でしょ」に回帰する気がする。
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