ストリップ劇場に危機、コロナ直撃で客が1日3人の劇場も…演目の多様化で一陽来復を待つ
#風俗 #ストリップ #新型コロナウイルス
日本にある歯科医院は約7万軒、コンビニは約5万6000軒。では、わずか20軒しかない施設は、何かおわかりだろうか。ストリップ劇場である。
最盛期の1960年代には、全国に300軒以上もあったとされるストリップ劇場は、約20軒にまで減少している。2021年5月には、広島第一劇場(広島県広島市)とA級小倉劇場(福岡県小倉市)が相次いで閉館することに。どちらも中国・九州地方で唯一のストリップだ(その後、A級小倉劇場は存続が決定した)。ちなみに風営法の問題で、ストリップ劇場を新設することは、ほぼ不可能だと言われている。
一方で、近年はストリップに注目が集まっている。かつては「エロ」「アングラ」というイメージが強かったが、健全な大衆エンタメとして認知されつつあるのだ。ショーの演目もポップなもの、アートなものなど多様化し、目に見えて若者や女性客が増加した。『女子のためのストリップ劇場入門』(講談社)という本も発売されたほどだ。ショーを見て感動した女子が踊り子になる、というサイクルも生まれている。注目されつつ、衰退にも直面している──そんなストリップの現状とこれからを取材した。
45年続いたストリップ劇場の終焉
まず、ストリップの概要を説明する。ショーが始まると舞台に踊り子が現れ、約20分間の演目が行われる。演目に合わせた衣装や小道具、音楽や照明がステージを彩る。踊りながら少しずつ衣装を脱いでいく、という流れだ。終了後はチェキでの撮影タイムや、「オープンショー」という短いショーがある。一ステージに4~6名の踊り子が出演し、それが1日に3~4回行われるのだ。料金は5000円前後で、一度入場したら終日滞在OK。
性的なサービスは一切なく、踊り子へ触れることすら厳禁である。ショーを見て、踊り子や常連客と交流し、感想を語り合ったり、“推し”の次の公演を楽しみにしたり。それがだいご味だと、ストリップの一ファンでもある筆者は思う。エロというより、ライブやイベントを楽しむ感覚なのだ。若者や女性が気軽に楽しんでいることにも、納得いただけるのではないか。
では劇場の経営者は、ストリップの現状と今後をどう感じているのか。閉館が決まっている広島第一劇場の、福尾禎隆社長(69歳)に話を聞いた。銀山町からほど近い歓楽街にある同劇場は、1975年に開館した。福尾社長は、1976年から業界に携わる大ベテランである。
閉館の理由は、家主の意向だという。劇場を取り壊し、ホテルを建てる計画が以前からあった。存続を願うファンや踊り子の署名活動もあり、福尾社長が家主に頼み込んで、何とか継続できていたのだが、ついに終わりを迎えることになった。
「契約期間が満期になるたびにお願いして、何とか延長してもらってきた。これからも劇場を続けたい気持ちはあるけれど、もう無理は言えないし、仕方ないね」
直接的な閉館の理由ではないが、客足の減少も痛感しているという。かつては一日数百名が来店し、人気AV女優がステージに立ったときは、700人もの客が殺到した。だが最近は、一日30~50人にとどまっている。閉鎖を発表してから、客足は一時的に増えているが、それがなかったらもっと少なかっただろうと福尾社長は話す。
「時代の流れだからね。昔の男の娯楽は、居酒屋で飲んで、ストリップを観て、風俗に行くのが王道だった。不景気になると、酒を飲んでそのまま風俗に行く。見るだけのストリップは飛ばされてしまう」
ほかにも娯楽の多様化や、ネット上での無料アダルトコンテンツの氾濫などが、客足が減った要因だという。女性客や若い踊り子の増加など、明るい兆候もあるが、全体的に見ると、ストリップが再び隆盛を取り戻すのは難しいと福尾社長。
「ストリップは基本的に男性の娯楽。(客の中心を占める)長年通ってくれているお客さんたちも年を取って、劇場に足を運ぶ頻度が減っている。劇場の数もさらに減って、踊り子さんの働く場所も少なくなると、なりたがる人もいなくなる。厳しいよ」
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