日本で発達した微エロ(?)ジャンル──規制されるかはアルゴリズム次第! おっぱい系YouTuber最前線
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規制はアルゴリズム次第──おっぱいのいたちごっこ
一方、YouTubeには顔出しをしていない素人女性ばかりではなく、最近は東雲うみやくりえみといったプロのグラビアアイドルも、おっぱいを強調した衣装で動画を配信することが増えており、彼女たちもおっぱい系YouTuberとして括られることが多い。
「東雲うみのガンプラ動画は、ガンプラに興味がない自分でも興味深く見ることができるほど、動画のクオリティが高かったです。さらに、それをやっているのが美しい巨乳のグラドルというのは、見るきっかけとして強力です。再生数と共に、彼女自身の知名度も高めており、理想的なYouTube参入だと思いました。
彼女たちがおっぱい系YouTuberとして括られることに関しては、例えば、ファッションモデルがグラビア進出した際に、グラビアが本業でないにも関わらず『モグラ女子』として受け入れられたように、『グラドル』や『YouTuber』は、職業として括るよりも、付け外しの利くタグのようなものとして、自分のステータスとしてプラスに働くかどうか考えた上で、付け外しをすればよいと思っています。また、我々見る側も、そう思ったらそう呼べばよいと思います」(同)
こうして、女性YouTuberたちにとって、新たなステータスのひとつとして確立したかのように思えるおっぱい系YouTuberだが、逆風もある。例えばFカップのバストを武器にTikTokでも活躍している「ゆでたまちゃんねる」を運営するゆでたまごというYouTuberは、投稿していた動画の内容が過激すぎたゆえにYouTubeのガイドラインに抵触し、収益化停止の憂き目に遭っている。
YouTubeのガイドラインでは「露骨な性表現を含む音声、テキスト、会話」などが「アダルトコンテンツ」と見なされて収益化の対象外とされており、本人も「狙いすぎた」と反省の弁を述べていたが、YouTube側はこの点について、どういった線引きをしているのだろうか? YouTubeの親会社であるグーグルの広報担当者に聞いた。
「YouTubeでは、ガイドラインに違反するコンテンツに対しては、高度な機械学習技術と審査担当者の組み合わせにより、コンテンツの削除などの措置を講じています。実際に、直近の四半期(2020 7月から9月)では、約780万件の動画を削除し、そのうちの90%以上が自動システムによる報告です。一方で、誤って違反警告や削除が行われたと思う場合は、再審査請求を行うことができます」
あくまで機械的に判断しているというわけだが、ゆでたまちゃんねると同じくらい過激な動画を投稿しているYouTuberが収益化を停止されていない現状に鑑みるに、その線引きの基準は限りなくグレーと言わざるを得ない。このような状況について、杜氏は次のように持論を述べる。
「巨乳という身体的特徴を理由に不利益な判断などを受けたり、行動や職業、服装を制限されることを、私は『巨乳差別』だと考えています。その一方で動画投稿者も、自分が巨乳ということを利用して、意図的に揺らしたり、ハミ出させて、性的な注目を集める狙いがあったにも関わらず、『エロがテーマじゃないから収益化停止はおかしい』と正当性を主張するのもおかしな話です。ただ、YouTube側としては、線引きの基準を公開すると、いろいろと面倒でしょうから、ブラックボックスのまま我々の知らないところで、おっぱいのいたちごっこが行われていくのでしょうね。AIのアルゴリズムの変化で、基準がガラッと変わってしまうこともあるでしょうし、投稿者の意図を汲み取ることはAIにはできませんから、結局はどの程度マンパワーに頼るかにかかってくるでしょう。また、マンパワーにお金をかけたくないのなら、AIで厳しくバッサリいかれるのが当たり前になる未来も大いに考えられます」
それでは、おっぱい系YouTuberは、今後どのような生存戦略を取ればいいのだろうか?
「おっぱいで稼いでいる自覚のある人は、企業案件や『ニコニコチャンネル』、『Fantia』などのファンクラブ系サブスクリプションサービス、物品販売などでリスク分散をして、YouTubeは宣伝目的として割り切るしかないでしょう。個人的な結論としては、『グレーゾーンは、無理やり白黒分けないほうがよい』です。曖昧であり続けるほうが、最終的に基準が緩くあり続ける可能性が高く、投稿者やそれを見るおっぱい好きにとって、メリットが大きいと考えます」(同)
見る側も投稿する側も、空気を読み合いながらグレーゾーンのギリギリを攻め続ける。おっぱい系YouTuber業界は、そんな「紳士の社交場」のような状況が今後もしばらく続きそうだ。
(文/ゼロ次郎)
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