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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.634

殺人ドライバーが白昼の公道で突然襲い掛かる! ラッセル・クロウ主演の恐怖映画『アオラレ』

殺人ドライバーが白昼の公道で突然襲い掛かる! ラッセル・クロウ主演の恐怖映画『アオラレ』の画像1
ラッセル・クロウが殺人ドライバーを怪演した『アオラレ』。目を合わせちゃ絶対にダメ。

 ついクラクションを鳴らしたことから、悲劇は始まった。クラクションを鳴らされた中年男性の運転手は、しつように追い掛けてき、急停車や幅寄せなどの「あおり運転」で主人公母子を戦慄させる。オスカー俳優として知られるラッセル・クロウがメタボ体型の殺人ドライバーに扮した映画『アオラレ』(原題『Unhinged』)は、ストレス過多で不寛容になった現代社会を反映したサスペンスフルな90分となっている。

 主人公であるレイチェル(カレン・ピストリアル)は、15歳になる息子カイル(ガブリエル・ベイトマン)を育てるシングルマザー。以前は美容室を営んでいたが、不況のために店を手放し、今はフリーの美容師として不安定な生活を送っている。息子カイルの学校への送り迎えに、母親の介護、無職の弟の面倒、さらに別れた夫との離婚協議問題も残っていた。レイチェルの心の中のコップは、すでに日々のストレスでいっぱいいっぱい状態だった。

 その朝、寝過ごしてしまったレイチェルは、カイルを学校へ送るのが遅れてしまう。道路はすでに渋滞しており、レイチェルのイライラが募る。青信号でも動かないトラックに向かって、レイチェルは思わず3度クラクションを鳴らし、追い越した。まさか、前代未聞の“ロードレイジ”の幕開けを告げる合図になるとは、そのときのレイチェルは夢にも思わなかった。

 レイチェルが再び渋滞に巻き込まれて立ち往生していると、先ほどクラクションを鳴らしたトラックが横付けしてきた。トラックを運転する男(ラッセル・クロウ)は「青信号ですぐ動かなかったのは悪かった。ちょっと考え事をしていた。でも、君ももう少しマナーのあるクラクションの鳴らし方をした方がいい。君も謝れば、これでおあいこだ」と、レイチェルに謝罪を求めてきた。レイチェルは、カイルに窓を閉めさせ、謝罪を拒否。すると男は「本当の不運とは何かを思い知らせてやる」と態度を豹変させる。

 レイチェル母子が乗るくたびれたボルボを、男は徹底的にあおり始める。他の車も巻き添えにする危険な急停車に加え、渋滞で前に進めずにいるボルボを、後ろからぐいぐいと押してくる。さらにはレイチェルに救いの手を差し伸べようとする者まで、男は跳ね飛ばしてしまう。レイチェルのクラクションによって、怒りの炎に火が点いてしまった男をもはや止めることは誰にもできなかった。

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