「富士そば」に国境なし? ベトナム、韓国、ミャンマー…異国風メニューで駅前異国探訪
#富士そば #異国 #食事
東京を中心に約120店舗を展開する「名代 富士そば」。創業は1972年、24時間営業や生麺使用のそばなどをいち早く取り入れたエポックメイキングな立ち食いチェーンである。
そう聞くと、王道を行く昔ながらの老舗チェーンをイメージするがさにあらず。盛りそばや天ぷらそば、かつ丼といった定番メニューに紛れて、意表を突いて現れる珍メニューに思わず二度見! なんてことも珍しくないのだ。
ここ数年間で、アツい展開を見せているのが“異国風メニュー”である。その好例が2019年12月に全店で提供された「肉骨茶(バクテー)そば」(590円/税込、以下同)だ。シンガポールの大衆料理に着想を得た一杯で、ニンニクとコショウがガツンと効いた豚肉・豚骨ベースのつゆが特徴。立ち食いそばにしては少々値は張るものの、販売開始早々10万食を売り上げる人気を見せ、いまでは秋冬メニューのセミレギュラーになっている。
2021年3月に販売されたシンガポールメニュー第二弾の「ラクサそば」(680円)は、肉骨茶そばとは対照的なアプローチを狙った。カレー風味のスープは甘くまろやかな仕上がり。海老とココナッツミルクの味わいが舌に余韻を残す。5万食を用意し、現在でも多くの店舗で楽しめる。
北千住東口店、池袋店…各店舗“オリジナル”の異国風メニューにも注目!
全店展開の肉骨茶そばとラクサそばは、いうなれば会社を上げての“公式メニュー”。しかし、店舗によってはなんと店主独自の判断でオリジナルの異国風メニューが券売機に加わることもある。
例えば、北千住東口店は昨年3月にベトナム料理「フォー」を意識した「ベトナム風うどん」(550円)を開発。富士そばといえば醤油の風味を前面に出したつゆが特徴だが、こちらのスープは鶏だしをベースに塩味で味を整えた。富士そばでは異質な輪切りレモンのトッピングもよいアクセントに。あっさりとした口あたりで最後の一口まで飽きさせない。
そのほか、この店は「蕎麦めし」や「ハヤシライス」「クリスマスチキン」といった変わり種を数週間に一、二品のペースで量産。新メニューが販売されるや、富士そばマニア達が我先にと店に詰めかける。
「本場韓国まぜそば」(480円)は、池袋店が自信を持って打ち出す夏の定番メニュー。通常のぶっかけそばに白菜キムチ、きゅうりの千切り、ほぐした鶏むね肉などがトッピングされている。最大のポイントは、そばつゆに替わって甘辛の味噌ダレがかかっていること。見映えを気にせず、そばと味噌ダレを満遍なく混ぜるのが正解だ。
「本場韓国冷麺」(580円)は、まぜそば以上に本格的。韓国から仕入れた冷麺は驚くほどコシがあり、つるりとしたのどごしが心地いい。キリっと冷えた冷麺用スープの清らかな味わいが夏の暑さを吹き飛ばしてくれる。
じつはこの店の店長は、韓国出身。その経歴を知れば韓国メニューのこだわりようにも納得がいく。昨年の冬は「具だくさんクッパ」(500円)も販売し、立ち食いそばの新境地をめざす。
本場の味は恵比寿駅前店でも。昨年11月、月替わりメニューに「ミニチェッターヒンセット」(590円)が登場した。チェッターヒンとはミャンマーで食べられている鶏肉の煮込み料理で、日本国内では「ミャンマーチキンカレー」と紹介されることも。
こちらのメニューはミャンマー出身の従業員が考案。具は鶏肉、じゃがいも、トマト、たまねぎなど。ピーナッツオイルを加えて本国のレシピに近づけた。
とろりと煮こまれたカレーソースを口に運ぶと、トマトの酸味とともに香ばしさがふわり――。新たな味覚の扉が開かれて、そばとのセットという異質な組み合わせも忘れてしまう。
ここで紹介したメニューの一部は現在(2021年5月)でもお店で楽しむことができる。海外旅行ができない今だからこそ、味覚を通じて異国を味わってみるのも一興だ。
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