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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 野口聡一が住む“宇宙の家”と“人類の家”

過去最高に壮大な『家、ついて行ってイイですか?』 宇宙飛行士・野口聡一が住む“宇宙の家”と“人類の家”

野口聡一の住む“宇宙の家”について行ってもイイですか?

 番組終盤、いきなり予想外の映像が始まった。

「お家ついて行ってイイですか? スペシャル、宇宙の個室編!」

 カメラに向かって話しかけているのは、JAXA宇宙飛行士の野口聡一さんだ。地球を飛び出し、国際宇宙ステーション(ISS)で生活する野口さんが自身の生活ぶりを紹介してくれるらしい。つまり、『家つい』宇宙ステーション編である。確かに、大きく分ければISSも住居だけれども……。宇宙にも対応できる万能なフォーマットをこの番組は持っているということ。

 野口さんの住むISSは築10年だそう。間取りはよくわからないが、予想以上に広くて奥行きがある。面積は108.5m×72.8mで、サッカー場とほぼ同じだ。どこへ行ってもコードやパソコンなどがむき出しで、少し散らかっているような印象。これに似た風景を『機動戦士ガンダム』で見た記憶があるな……。

 泳ぐように奥へ突き進むと、野口さんの寝室へ行き着いた。扉を開けると狭い。寝袋が置いてあるが、こんな空間にずっといると発狂してしまいそうだ。筆者なら1週間もたずにギブアップすると思う。訓練した人じゃないとこんなところではとても寝られない。宇宙へ行くのって大変なんだな……。

 野口さんの就業時間は1日8.5時間で、週に休みは2日。でも、この“家”で週2日の休みをもらっても何をしろと言うのか? 空き時間は何をすればいい?

 また、勤務内容がキツいのだ。特に、ISSの外に出て作業する船外活動は恐怖でしかない。自分と宇宙船を繋ぐワイヤーが命綱としてあるものの、万に一つ離れてしまったら二度と帰って来られない。宇宙は確かに夢だが、孤独や危険とも隣り合わせなのだ。

 宇宙の生活はやっぱり過酷だった。訓練しているとはいえ、タフじゃないとメンタルがやられてもおかしくない。でも、野口さんを見ると楽しそうなのだ。彼は小さい頃から宇宙に興味があり、小学生時代にはこんな文章を書いていた。

「ぼくは、ロケットのそうじゅうしになりたい。わけは宇宙のいろいろのことがわかるから」

 その後、東京大学を卒業してから約10年の訓練を経て、40歳で宇宙へ飛んだ野口さん。なんと、10年間も訓練したのだ。確かに“訓練漬け”のイメージが宇宙飛行士にはある。そして、彼ら彼女らはエリート中のエリートだ。そんな過酷な夢を野口さんは現実のものとした。『ドラゴン桜』の桜木建二が言う「東大へ行け!」のセリフも説得力が増してくるな……。

 ISSの中でも特に野口さんが好きだという観測用モジュールへ行くと、そこは“宇宙の出窓”のようなスペースだった。頭上を見ると、我々の住む地球が目の前にある。地球は本当に綺麗だ。見ていて吸い込まれそうになった。これは宇宙飛行士しか見られない風景だ。

「地球は本当に美しいですよ。人類はコロナで凄く大変だと思いますけど、地球はそんなこと関係なく美しく輝いている。僕たちもこの美しい地球を守るために何ができるか、本当に大事だなと思います」(野口さん)

 感銘を受ける言葉だ。野口さんは船外活動を行う際、こんなことを感じるという。

「船外活動では自分と宇宙が1対1で対峙している感覚が強くあります。手を伸ばせば触れるくらいにリアリティを持ってそこに存在している」(野口さん)

 そんな感覚、我々にはまるで想像がつかない。その感覚を知るために、初めて宇宙へ行ってみたいとさえ思った。事実、今回の映像をきっかけに宇宙飛行士を目指す若者はいるのではないか? 今まで見たどの番組よりISSの生活がリアルに感じられる映像だった。あまりにも壮大な“家”へついて来てしまったものだ。今回のVTRは野口さんのこんな言葉で締めくくられた。

「これから僕も地球に帰って行くので、そういう意味では僕たちみんなの大事な“お家”ということかなと」

 宇宙から見た美しい地球を“人類の家”と表現した野口さん。なんて完璧な締めコメントか!

 5月2日、167日ぶりに野口さんは地球へ帰還した。ISSの映像から孤独や危険を感じた瞬間があっただけに、無事は何よりである。まるで、映画『ゼロ・グラビティ』そのままのような映像だった。間違いなく、今までで最も壮大な『家ついて行ってイイですか?』だ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/05/05 20:00
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