『ペーパー・ハウス』や『ダーク』だけじゃない!──台湾ドラマにノリウッド映画までNetflixの非英語圏の名作
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※月刊サイゾー3月号より一部転載
世界をひとつのマーケットとみなし、映像コンテンツを配信するNetflixのおかげで、我々はあまりスポットが当てられてこなかった国や地域の映画・ドラマを手軽に楽しめるようになり、優れた作品はこれまで以上に大きな注目を浴びるようになった。
例えば、日本でも社会現象になった韓国の『愛の不時着』のほか、スペインの『ペーパー・ハウス』は世界中でヒット。2019年にはドイツ発の『ダーク』が「Netflixで最も視聴された番組ランキング」の3位に食い込んでいる。
本稿ではNetflixで視聴することができる非英語圏の知られざる名作をピックアップ。今見るべき、少しマニアックな国の作品を紹介していきたい。
実はドラマ大国──トルコ発に注目
「Netflixはこれまで既存のローカル作品の国際配信権を買い付けていましたが、近年は単に各国で人気作品を買い付けるのではなく、ローカルの有力プロダクションとタッグを組み、企画・制作からNetflixが携わるオリジナル作品が増えています」
そう語るのは『海外ドラマ10年史』(日経BP社)などの著作がある、ライターの今祥枝氏。
同氏は現在、Netflix内で存在感を増しているトルコに注目しているという。
「本国でも評判になった『エートス:イスタンブールの8人』は、トルコニューウェーブとでもいえるようなシネフィル感あふれるドラマです。トルコは昔からドラマ大国なのですが、広く一般ウケする地上波的な大衆性の強い作りから一歩進み、1シーズン8話という少ない話数で、これまで描かれなかった現代トルコを、正面から描き出す意気込みが伝わります。本作は保守的なイスラム教の古い慣習を守ってヒジャブをかぶっている女性や、グローバルな視点を持つ海外留学組の女性の重厚な人間ドラマです。構図やカメラアングルなど映像も凝っていて、そのクオリティも素晴らしく、本当に驚きました。10分見れば映画ファンにもヤバさがわかるドラマです」
トルコはドラマ大国の一方で、宗教のため規制が厳しい国でもある。Netflixの『イフ・オンリー』という作品も、登場人物のひとりが同性愛者という理由で、本国の検閲が入り制作中止になっている。
「『イフ・オンリー』の件があったにも関わらず、『恋の入門編』には表現の規制でかなり暗示的な形ですけど、明らかに同性愛者のキャラが出てきます。本作は爽やかな青春ドラマとサスペンスが入り混じった、古いしきたりの中でティーンエイジャーの悩みを描いた作品で、ロケーションもすごく素敵です。イスタンブールの港の風景も出てくるし、学生たちが屋台などで買い食いするシーンも多く、現地の生活や文化を垣間見る楽しさがあります。これこそが、異文化なのに普遍性を共有できる、非英語圏作品を見る一番の魅力ですね」
そんなトルコドラマ推しの今氏だが、同氏が昨年見たいわゆるNetflixオリジナル(以下、オリジナル)のドラマの中で、年間ベストに選んだのは、スウェーデンの『カリフェイト』だった。
「題材はISILと不法移民で重いんですが、スリリングだし、次が気になる連続ドラマの面白さもあります。また、移民問題はアメリカの専売特許ではなく、北欧でも非常に現代的な問題です。スウェーデンに移民した人たちの鬱屈とした現実、居場所のない若者という、普遍的ともいえるテーマを扱い、娯楽性も高いです」
また、同氏によると最近のスカンジナビアンドラマでは、フィンランドの『DEADWIND: 刑事ソフィア・カルピ』もオススメだという。
「シーズン1はフィンランドとドイツ、シーズン2はヘルシンキが関係する公共事業と、その汚職をめぐる社会派要素を盛り込んだ刑事ドラマです。EU圏では広がりのあるドラマを作りやすく、事件自体も鉄板で面白い。また、本作はフィンランドの女刑事ものというのもポイントです。とにかく寒そうなんですけど、北欧ドラマ特有の暗い陰気な感じの映像が不吉な雰囲気を盛り上げてくれます」
また、サスペンスドラマ、犯罪者モノで言えば、2022年にシーズン2の配信が開始される台湾の『次の被害者』も注目のタイトルだ。
「昨年配信された『次の被害者』のシーズン1も、非常に凝った社会派サスペンスミステリーです。一風変わった連続殺人事件を題材に社会問題を入れ込み、画づくりなどにも北欧ドラマの影響を感じます。序盤は中華圏の名前が頭に入ってきにくいんですが、展開がすごくて、慣れてくるとかなり楽しめる作品です」
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