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本音は「愛国心より品質」? 中国で不買運動の対象となったアディダスの店舗に“非国民”が行列

本音は「愛国心より品質」? 中国で不買運動の対象となったアディダスの店舗に非国民が行列の画像1
アディダス店舗の前にできた行列

 中国・新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐり、世界各国のアパレルブランドは「新疆産綿花の使用拒否」という声明を次々と発表し、中国国内ではこうした海外アパレルブランドへの不買運動が激しさを増している。

 特に、米スポーツ用品大手ナイキとスウェーデンの衣料品大手H&Mは、ウイグル問題に懸念を表明してきたことを理由に、ネット上では大規模な不買運動を呼びかける動きが見られてきた。中国全土で巻き起こっているかに見える不買運動だが、その実態はあまり知られていない。

 香港東網(4月4日付け)は、中国で不買運動の対象となってきたスポーツ用品メーカー・アディダスの店舗に、地元住民が大挙して押し寄せていることを伝えている。4月3日、中国のSNSには、河北省石家荘市内にあるアディダスの直売店に行列ができていたとして、当時の店舗前の写真などが投稿され拡散されたという。

 記事によると、当時店舗内には多くの買い物客であふれ、さらに新型コロナウイルスの感染予防対策のため、入場制限が設けられていたという。そのため、店外には40名以上の買い物客が列を成し入店を待っていたのだ。

 ネット上で不買運動が呼びかけられる中、現実にはこうして買い物客が殺到していることについて、中国のSNSには「愛国心のかけらもない売国奴だ」など、厳しい声が寄せられる一方、「製品の品質やブランド価値を重視するなら、国産ではなくアディダスを選ぶ人が多いのは当然だ」など、賛否両論の意見が寄せられ大きな議論となっているのだ。

 すっかり政治問題に巻き込まれてしまった海外メーカー。その影響は多岐に渡っている。すでに中国国内のECサイトからはナイキやアディダスなどのストアページが削除され、ネットから商品の購入ができなくなっているほか、中国国内のスマートフォンメーカーもアプリストアから海外アパレル関連のアプリを削除するなど、中国政府や国内の保守層に配慮した対応が行われているのだ。

 アディダスをめぐっては、中国の人気オーディション番組も対応に追われている。人気オーディション番組『青春有你3』では、番組のスポンサーがアディダスだったことに加え、出演者たちがアディダス製のシューズを履いていたことから、番組の放送延期を決め、急遽ブランドロゴにモザイク処理がされる事態となっている。スポンサー企業のロゴにモザイク処理という前代未聞の事態に陥っている中国。極端な不買運動は結果的に自分たちの首を絞めることになるのかもしれない。

廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)

明治大学卒業後、中国の重慶大学へ留学。メディア論を学び、帰国後は中国の社会問題についてウェブメディアを中心に執筆している。

ひろせだいすけ

最終更新:2021/05/01 13:30
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