『ドクター・ドリトル』に負けず劣らず最低! U-NEXTで配信中のおすすめのダメ映画3本
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ハリウッドは第93回アカデミー賞の発表を目前に控え(現地時間4月25日)盛り上がっている頃だが、筆者はその前日に発表されるゴールデン・ラズベリー賞(通称ラジー賞)にも注目している。
アカデミー賞が米映画界最高の名誉ならばラジー賞は最低映画の名誉(?)である。「あんたの映画は最低です。よってここに表彰します」とやっちゃうのだから、ハリウッドのギャグセンスは奮っている。
本家アカデミーのように表彰式もきちんと行われ、オスカー像をまねた受賞トロフィー(めっちゃ安っぽいつくりの)も渡される。パロディにしても手間がかかっている。最低映画の受賞式に来る人なんているの?と疑問に思うそこのあなた! ちゃんといます。
ラスベガスで一流のスターになることを夢見るダンサー(ストリップの)たちの「女の戦い」を描いた『ショーガール』(95)は13部門ノミネート、7部門を制覇。登場人物は全員自分のことしか考えていない(主人公も含め)最低人間の集まりで、誰にも感情移入できないダメ映画だが、金髪美女のオッパイだけは嫌というほど見られるのでその筋の人には大人気であったという。1999年の第20回を記念して特別に創設された「1990年代最低作品賞」にも輝き、2005年の「25周年最低ドラマ賞」にもノミネートされ、以後カルト作品の名をほしいままにしている。
監督したのは『ロボコップ』でお馴染みのポール・バーホーベンだが、授賞式に堂々現れトロフィーを受け取った。ちなみに彼は、ラジー賞で最初に直接トロフィーを手にした人間である。彼はその後も軍国主義を茶化した『スターシップ・トゥルーパーズ』や美女がウ〇コまみれになる『ブラックブック』など、良識派の神経を逆なでする映画ばかり撮っているのでラジー賞はむしろ名誉かも!?
バットマンに登場するヴィラン(悪役)の一人を主役にした『キャットウーマン』は、原作の設定もキャラクターもガン無視したことでアメコミファンからそっぽを向かれ、敵役でキャストされたシャロン・ストーンの、現場での度を越した我儘ぶりにも振り回されたことも影響し、映画は大失敗。第25回ラジー賞の4部門受賞に輝いた。
だがキャットウーマンを演じたハル・ベリーは授賞式に現れた! しかも2002年のアカデミー賞で初のアフリカ系アメリカ人として主演女優賞に輝いた際の感動的なスピーチのパロディを行って! ラジー賞の関係者も思わず涙したという名場面となった。
第34回の3部門制覇を成し遂げた『ムービー43』12本の短編をただ繋げただけの適当な構成な上、えげつない下ネタのオンパレードでまるで笑えない。オールスターキャスト(オールスター映画で下ネタギャグが繰り広げられることが唯一の価値か)だが内容が内容なので誰も宣伝に協力せず、ひっそりと公開され沈没した。
上映時間1時間半だが体感時間は3時間に匹敵し、鑑賞後はぐっすりと眠ることができるだろう……本作は最低監督賞で13人、最低脚本賞として21人が同時に受賞した。ラジー賞最多の受賞者数!最低映画賞における最低の名誉!
日本で公開されたことは奇跡にも思えるが、筆者がマスコミ試写に行ったときは他に一人しか来ていなくて、宣伝担当ともども居た堪れない気分を味わった。
以上の作品はU-NEXTで配信中なので、どれだけダメなのかぜひ確認して! 最低だとかダメ映画という要素すら笑いにしてエンターテイメントに変えてしまうハリウッドの奥深さをラジー賞には感じる。日本でもマネして文春きいちご賞とかスポーツ報知主催の蛇いちご賞とかやってたけど、どれもこれもうまくいかなくて中断しているのは、本家にあるユーモアセンスがないからでしょう。それさえあれば日本でも授賞式にやってきてくれる製作者や出演者が現れるかもよ?〇〇の監督とか、××の主演俳優とか……。
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