『家、ついて行ってイイですか?』闘病中の親友を思い『イナズマイレブン』にメッセージを送った、奇跡
#家、ついて行ってイイですか? #イナズマイレブン
4月21日放送の『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「人生で起きた、まさかの奇跡SP」。この回、本当に奇跡の出来事に遭遇した人ばかり出てきたのだ。フィクションみたいな人生を送る人たちが、この番組には度々出てくる。
『イナズマイレブン』が闘病する1人のファンに送ったメッセージ
番組スタッフは自宅から参加できる「オンライン運動会」なるイベントに潜入。運動会終了後、参加者全員に「家、ついて行ってイイですか?」と声をかけると、多くの人が次々に挙手! 大勢の立候補者の中から、体操服のコスプレでイベントに参加していた59歳の女性宅にお邪魔することにした。
女性の家は町田市にある家賃9万3千円の一軒家(2LDK)。彼女は実はバツ3で、5人いる子どもたちは母の元へ集まっているようだ。台所を見ると野菜ジュースや酵素など健康食品がたくさん置いてある。彼女は、自称“健康マニア”だ。
そうこうしているうちに、23歳の次男のよしみつ君が仕事から戻ってきた。彼が従事しているのはシールを貼ったりボールペンの芯を詰めたりという、いわゆる軽作業である。
「(よしみつ君は)生まれつき発達障がいがあるので。精神発達遅滞。とにかく、言葉が遅かったですね。小学校1年までは何を言ってるかわからない。大変だった! でも、今は(仕事を)自分で覚えて通ってますね」(母)
そんな彼に話を聞くと、漫画(アニメ)『イナズマイレブン』が大好きなことがわかった。本棚を見ると同作のコミックスがズラーッと揃えてあるし、DVDのコレクションもメチャメチャ多い。
「小っちゃいとき、(サッカーを)習ったときはあるけどやるのは下手で。そこから、アニメの『イナズマイレブン』も好きになったって感じで」(よしみつ君)
彼には家族のサポートがある。母と姉は家族のために台所で餃子を作っていた。冷蔵庫を開けると、きのこやイワシなど体に良さそうなものしか買っていないようだ。免疫力に関する書籍まで置いてある。これはコロナを意識しているから?
「(よしみつ君が)小学校5年生のときに急性リンパ性白血病を発症したので、そういうのもあってかな」(母)
入院したよしみつ君は1年間の抗がん剤治療を受けて良好になり、退院。しかし、中学3年で白血病が再発してしまう。そこからは無菌室に入り、何も食べられない生活が続いた。口内炎も酷く、水分と栄養剤だけを摂る毎日である。
「(闘病時は)ビニール越しでただ見てるだけです。そばにいるだけ。毎日毎日、ただずっとそばにいるっていう感じでしたね。少しでも安心させるために、寝付くまで……というか許される時間までいましたね、ずっと」(母)
前回の治療とは異なり、今度の治療は骨髄移植が必要というのが医師の説明だった。だから、ドナーを探さなければならない。結果、奇跡的に適合したのは母親だけであった。
「もう、『神様、ありがとう!』って。奇跡ですよね」(母)
生まれてきた子には障がいがあり、そして白血病になった。本人も親も想像を絶する苦しみだったはずだ。そして母は今、我が子に人生を捧げている。自分の子どもを自分が救えるなんて、考えようによっては素晴らしいことかもしれない。体操着でコスプレする彼女を見ているときは、そんな過去を微塵も感じることはできなかった。
よしみつ君の肌を見ると、ところどころ白い箇所がある。白髪も目立つ。骨髄移植は後遺症で色素が抜けるそうだ。彼の場合、完治は一生せず、寛解という状況が続く。そして、移植してからもう8年が経った。彼は今も元気に生活しているのだ。
よしみつ君の闘病を支えた存在がもう1人いる。彼の親友・けいすけ君は中学時代の同級生で、今も毎週のように泊まりに来るほどの仲である。友だちになったきっかけは、中2のときに交わした『イナズマイレブン』についての会話だった。
けいすけ 「見た目ではわかりづらいんですけど、僕も1番軽いほうの知的障がい者で、読み書きとかも知能が遅れてて、(よしみつ君と)一緒に授業とか受けていた。仲良くなって、ゲームしたり一緒にテレビ見たりとか。(よしみつ君は)いい奴って感じです。親友です」
よしみつ (照れて顔を隠す)
けいすけ 「かわいいですね(笑)」
よしみつ君は筆箱を『イナズマイレブン』のグッズにするほど、同作のファンである。それを知るけいすけ君は、テレビ東京にこんな手紙を送っていた。
「松風天馬様へ 今日はお願いがあるので手紙を送りました。よしみつ君は白血病で今も病院で頑張っています。よしみつ君は毎日欠かさずイナズマイレブンのゲームをやっています。テレビも欠かさず見ています。そんなよしみつ君に電話か手紙をくれないでしょうか。よろしくお願いします」
すると、『イナズマイレブン』主人公の松風天馬からメッセージ入りのDVDがお返事として送られてきた。
「よしみつ君! 雷門イレブンキャプテンの松風天馬です。よしみつ君は今病気と闘っているって聞いたから、俺にできることはないかなと思ってメッセージを送りました。病気しんどいと思うけど負けないで! 俺に剣城や雷門の強い仲間がいるように、よしみつ君にもお母さんや友達がついてるから心強いよね。頑張れよしみつ君! 君なら絶対乗り越えられる。松風天馬より」
具体的に言うと、天馬の声優を務める寺崎裕香がメッセージを吹き込んだDVDと、キャラクターデザインの井ノ上ユウ子がイラストを描いた色紙を、よしみつ君のために送ってきてくれたのだ。病気と闘う1人のファンのために、新たに録って、描いたものである。これがあるから、よしみつ君はくじけずに頑張れた。好きなものを持つって大事なことだし、好きな“人”から応援されれば頑張ることができる。ちなみに、けいすけ君がテレ東に手紙を送ったのは2013年。8年も前の話だ。その間、松風天馬がよしみつ君にメッセージを送った事実は一切公表されていない。あくまで、1人のファンのための行動だったのだ。
そして何より、けいすけ君が親友を思い、勇気をもってテレビ局に手紙を出した行動である。こんな最高の友だちを一生のうちに見つけられるだろうか? 親友を持つことのできる人生は幸せである。
よしみつ 「死んじゃったら俺このまま楽しいことないから。生きれば楽しいことがある」
けいすけ 「いいじゃん。いいと思うよ」
闘病していた過去を思うと、日々働くことができるよしみつ君の今は母にとって何物にも代えがたいはずだ。家族がいて、友だちがいて、趣味がある。これら全てが、よしみつ君にとって生きるパワーになった。
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