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Netflixが日本のテレビを潰す? 「参入5年で500万人突破」にテレビ局はどう対抗するのか

カモられていたネトフリ、テレビ業界との関係

 日本のテレビ業界はもっと慎重に、Netflixと関係を築くべきだった──そんな声も複数のテレビマンから聞かれた。別の局のドラマプロデューサーB氏はこう振り返る。

「2015年にNetflixが日本に上陸した直後は、ライバル視したり、危険視したりといった人はほとんどいなかったように思います。むしろ自社のコンテンツを高く買ってくれる配信業者という感じで、明らかに下に見ていた」

 たとえばNetflixは当初、フジテレビと共同制作で『テラスハウス』の新シリーズや、桐谷美玲や大地真央をキャスティングした『アンダーウェア』、16年には又吉直樹の芥川賞受賞作で吉本興業制作の『火花』を配信したが、ドラマのほうはさほど話題を呼ぶことはなかった。大ヒットコンテンツの『テラハ』にしたって、フジテレビが放送してヒットしたものが、ネトフリでも見られる、という認識以上のものはなかったはず。前出のA氏は「Netflixは、日本のテレビ業界に“カモられた”」という。

「日本市場参入当初のNetflixは、カネを持っているだけの“モノをつくったことのないヒト”、簡単に言うと素人だったのです。そして素人がカネを持つと何が起きるかといえば単純で、プロの製作者からむしり取られるわけです。おそらく『火花』や『アンダーウェア』などに莫大なカネを支払っているはずですが、実際にプロの視点で視聴してみると、クオリティは高くない。つまりテレビ局や制作会社にカネを中抜きされていたのは明らかです。それも信じられないくらいの額を」(A氏)

 しかし、Netflixもただでは転ばなかった。

「日本の業者から軽んじられていた時期は、しばらく続いたように思います。おそらくNetflixからしたら、『なんでこんなにカネを払っているのに、こんなものしかできないんだ』という不信感が確実に出来上がっていった。そのためか、ある時期から“これではダメだ”という姿勢を見せるようになった。私がそれを実感したのは19年のオリジナルドラマ『全裸監督』を見たときでした。誰の目からもカネがかかっていることがわかる上、おもしろい。20年に配信された蜷川実花監督の『フォロワーズ』も鮮烈でした。衣装やセットに適切にカネが投じられていることは容易に見て取れた。“自分たちが投資するからにはそれに見合うクオリティでなければ許さない”という断固とした覚悟を表明するかのような作品だと思います」(同)

 現状、Netflixがテレビの視聴者や人材を吸い上げるという対立の構図が存在するが、こうした初期の軋轢がなければ両者は互いの強みを持ち寄ってWin-Winの関係を築くこともあり得たのかも知れない。

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