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CVC東芝買収断念で日本の安全保障が救われた!? 海外投資家の草刈り場になった日本を示した“東芝劇場”

ドタバタを繰り返したここ2週間の“東芝劇場”

 ここでCVCの買収提案から始まり、社長交代、そして、また、同社の事実上の買収断念と急変し第一幕を閉じた、ここ2週間あまりの“東芝劇場”をおさらいしてみよう。

 CVCは4月6日、東芝に買収に向けた初期提案をした。東芝と交渉を進め、当局を含めて合意を得た上で、株式公開買い付け(TOB)に乗り出し、全ての株式を取得した上で株式を非公開化する計画だった。ところがどこで話が漏れたのか、翌7日になると、日経、朝日、読売をはじめとする主要メディアが、このCVCによる東芝買収計画提案の全容を一斉にデカデカと報じ始めた。東芝はおよそ一週間後の4月14日に臨時取締役会を開き、車谷暢昭(くるまたに・のぶあき)社長の辞任を発表した。後任には綱川智会長(前社長)が復帰した。

 車谷氏が東芝に転じる直前まで、CVC日本法人会長を務めていたことも問題視され、株主のみならず、東芝内部からも買収提案の正統性を疑問視する声が上がっていた。

 東芝の関係者によると、今回のCVCによる2兆円ともいわれる東芝の買収提案は、社長の地位にしがみつこうとする車谷氏が自らの延命のために仕掛けたという。CVCに東芝が買収されれば、東芝は上場廃止となり、ここ数年、頭を悩まされ続けてきた海外の“物言う株主”とも完全に縁を切ることができると車谷氏は踏んだ。そうすれば再び、経営の主導権を取り戻せると目論んだようだが、そうはならず自らの墓穴を掘る結果となった。

目を覆いたくなる名門の凋落 強まる“物言う株主”の攻勢

 石坂泰三に土光敏夫――。かつて東芝の社長から経団連会長も輩出したのも今は昔。ケチのつき始めは15年に発覚した粉飾決算だ。

 08年度から7年での2200億円以上の利益をかさ上げした事件だった。弱り目に祟り目。16年末には買収していた米国の原子力関連企業・ウエスチングハウスでの巨額損失が明らかになった。東芝は翌17年、債務超過を回避するために6000億円の増資に踏み切った。この時、増資を引き受けた海外株主の中には、ハゲタカファンドを含む“物言う株主”が含まれていたものの、東芝に選択肢はなかった。

 従来のように「金は出しても、経営には口を挟まない」日本の伝統的“物を言わない株主”と違い、“物言う株主”は東芝経営陣にどんどん注文をつけていった。

 東芝の筆頭株主であり、旧村上ファンドの幹部たちが作ったシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメント(エフィッシモ)は東芝に今年3月18日、臨時株主総会を開かせた。内容は、20年7月に開かれた定時総会の議決権の集計と行使結果に、不自然な点や疑義を残した点があるとし、第三者機関による再調査を求めるものだった。

 エフィッシモから提案された議案は賛成率57.90%で可決された。

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