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『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』発売記念インタビュー

“傷つけない笑い”に立ち向かう海を渡った第7世代―スタンダップコメディアン Saku Yanagawaの闘いとは

“傷つけない笑い”に立ち向かう、海を渡った第7世代

傷つけない笑いに立ち向かう海を渡った第7世代―スタンダップコメディアン Saku Yanagawaの闘いとはの画像3

「今アメリカにはアジアのスーパーヒーロー映画が必要だと思うんだ。(中略)『チャイニーズ・バットマン』なんてどう? 彼はパワフルできっと君たちを助けてくれる。あ、でも、2週間は隔離しなきゃダメだけどね。うん、このジョークは確実に早すぎたね」

 これはSakuの持ちネタのひとつ。ともすれば炎上問題に発展しそうなジョークだ。

“タブーなき笑い”とも呼ばれるスタンダップコメディだが、過去を含めて差別的発言をした人物や組織は、たとえそれがジョークだとしても、糾弾の対象となり表舞台から抹消させられる。

 今、この「キャンセルカルチャー」の波が大きなうねりを起こして、コメディアンたちに直撃している。それは日本の現状を見ても想像できるだろう。しかし、Sakuやその戦友たちは上記のような際どいジョークを今でも舞台上で堂々と放つ。

「当たり障りがなくて、角の立たない笑いを現代の笑いとするほうが、よっぽど暴力的。出自やジェンダー、人種のような努力によって変えられないものをネタにして笑いを取ることはあってはならないことだけど、スタンダップコメディはネタを通して、視聴者にハッとするよう“気づき”や考えるきっかけを与えられる芸術だと思ってます。だから僕、“傷つけない笑い”という言葉が大嫌いなんです(笑)」

傷つけない笑いに立ち向かう海を渡った第7世代―スタンダップコメディアン Saku Yanagawaの闘いとはの画像4

 年代的にはいわゆる“第7世代”にあたる彼には数多の野望があり、そのひとつに「日本に凱旋して武道館で単独ライブを行う」というものがある。海を渡った第7世代がスタンダップコメディで全米に旋風を巻き起こし、逆輸入コメディアンとして日本の笑いに“気づき”を与えられるか。そして、スタンダップという芸能が日本に根付くことができるのか。その可能性をぜひ本書「Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!」から探ってもらいたい。

武松佑季(ライター)

1985年、神奈川県秦野市生まれ。雑誌ライター、編集者。東京ヤクルトファン。

たけまつゆうき

最終更新:2021/04/25 18:00
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