『チコちゃんに叱られる！』三原じゅん子の名言「顔はヤバいよ、ボディをやんな」を思い出す、危険すぎる演出にア然

　4月16日放送『チコちゃんに叱られる！』（NHK）のゲストは、2回目の出演の松坂桃李と、初登場（VTR出演はあり）の森三中・大島美幸。MCの岡村隆史と松坂はともに昨年結婚したばかりの新婚さんだ。

「ヒゲはパンチから守るために生える」説が隙だらけ

　この日2つ目のテーマは「なんで男の人にはヒゲが生えるの？」というもの。確かに、これは謎である。『うちの女房にゃ髭がある』なんて映画もあったが、女性が生やすヒゲはあくまで産毛レベルのものが多い印象だし。チコちゃんが発表した正解は「新事実発見!?　パンチから守るため」だった。そういえば、女性同士のキャットファイトを思い出すと殴り合いより掴み合いが多い。あと、『3年B組金八先生』（TBS系）には三原じゅん子の「顔はヤバいよ。ボディやんな、ボディ」なんて名言もあった。なるほど、女性より男性のほうが顔を殴り合う機会は多いのかもしれない。

　詳しく教えてくれるのは、男性のヒゲについて昨年4月に新たな説を発表したアメリカ・ユタ大学のデビッド・キャリア教授だ。

「なぜ男性にヒゲがあるのかは長年結論が出てなかったんだけど、私たちはある答えを見つけたんだ。パンチから守るためなんだ。ヒゲはパンチされたときにクッションになるんだよ」（デビッド教授）

「人間が進化してこうなった」や交配の影響などではなく、戦いのためのヒゲと断言するところが潔い。

　先生によると、ヒゲの存在は学者たちの間で長年研究されてきたそうだ。最初になぜ男性にヒゲがあるのか考えたのはダーウィンで、彼はヒゲを“女性を惹き付け男性を魅力的に見せるもの”と考えたという。「人は猿から進化した」と唱えたダーウィンは、オスがメスにモテるために進化の過程でオスのヒゲだけが残ったと考えたのだ。しかし、ヒゲを生やした番組ディレクターは女性スタッフにこう言われている。

ディレクター　「俺のヒゲってどう？」
女性スタッフ　「汚らしい。もみあげとヒゲが繋がってるのがヤダ」

　ヒゲがあるほうがモテるとは必ずしも言えないようだ。というか、こういう演出を男女逆の立場でやると非難されることは必至だし、男性が女性に貶されるバージョンもそろそろ賞味期限切れだと思うのだけど……。

「国によってヒゲがモテる国とそうじゃない国があるんだよ。他にも、ヒゲがあるのは他の男たちから強く支配的な人物だと見られるためという説もあるんだ」（デビッド教授）

　確かに、歴史上の偉人にはヒゲの持ち主が多い。豊臣秀吉はわざわざ付けヒゲを付けていたという話もあるほどだ。メジャーリーグでプレイする日本人選手がヒゲを生やしがちなのは、そのままだと幼く見えるからだろう。しかし、“強く見られるため説”についてもデビッド教授は否定した。エジプトの遺跡からヒゲ剃りが見つかっており、人は昔からヒゲを剃ってきたことがわかったためだ。そこでデビッド教授が考えたのが「パンチから守る」という説である。

「男性は女性よりケンカをする機会が多く、殴り合いのとき顔を狙うことに注目したんだ」（デビッド教授）

　先生によると、人が同性同士で争ったとき女性より男性のほうが暴力を伴い、顔の負傷も女性に比べおよそ2倍多いという。

「つまり、進化の過程でヒゲがある男性が勝ち残ったから今ヒゲが残っているんだ」（デビッド教授）

　確かに、島木譲二はパチパチパンチをやり続けたことで今まで生えていなかった胸毛が生えてきたと聞いたことがある。しかし、番組ディレクターは納得がいかない模様。デビッド教授に疑問を呈した。

ディレクター　「ヒゲが大事だったら、目とか鼻とかの周りにもなんで生えてないんですか？」
デビッド教授　「口の周りを守るのには理由があるんだよ。ボクシングジムに行けばわかるよ」

　ということで、早速ジムへ向かう番組スタッフ。すると、スパーリングしている選手にトレーナーは盛んに「アゴ引いて！」とアドバイスをしていた。

「アゴは1番急所なんで。脳震とうを与え、ノックアウトの可能性があるんで」（トレーナー）

　アゴに衝撃が加わると首を支点に頭にも衝撃が伝わり、脳が揺さぶられて脳震とうが起こるのだ。アゴはボクサーにとっては守らなければならない急所である。なるほど、だから男にはアゴや口周りにヒゲが生えるということか。ジャイアント馬場がボボ・ブラジルの頭突き対策に髪を伸ばしたのと同じ考え方と言える。そういや、ボクシング界の伝説・具志堅用高もヒゲを生やしていたし、彼が髪をアフロにしていたのは頭部を守るためだったのかもしれない。「じゃあ、ボクサーはみんな、ヒゲを生やしたほうがいいのでは？」とも考えたが、日本ボクシングコミッションの公式ルールには「試合の進行の妨げとなるおそれのある負傷、長髪、髭及びその他の観客に不快の念を与える風体のものは試合に出場できない」と記されているので、程度の問題はあるけれども。