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深読み映画コラム【パンドラ映画館】Vol.632

“12歳の少女”に群がる大人たちの歪んだ欲望! 『SNS 少女たちの10日間』が暴くネットの闇

ネットの闇から出てきた性獣どもとの対峙

12歳の少女に群がる大人たちの歪んだ欲望! 『SNS 少女たちの10日間』が暴くネットの闇の画像3
10日間にわたる実験は、ヴィート監督らが危険がないように見守っていた。

 10日間の実験を終えた後も、このドキュメンタリー映画はさらに続く。“12歳の少女”たちはセットを飛び出し、場外戦に参加する。チャットでやりとりした性獣どもと、街のカフェで実際に会おうというのだ。彼女らが危害に遭わないよう、カフェには客を装ったスタッフがすぐ近くで待機している。ネット世界から現実世界へと姿を見せた性獣と“12歳の少女”はリアルに対峙することになる。

 性獣どもの異常さに触れ、ヴィート監督たちも黙ってはいられない。「北の支配者」と名乗る、年季の入った児童虐待者の自宅を突き止め、スタッフ&キャストが一緒になって押し掛ける。この「北の支配者」の開き直りぶりがまたすごい。普段は子ども向けのキャンプやスキーツアーを主催しており、「仕事先の子どもには手を出していない」「チャットに来る子どもが悪い。親の教育に問題がある」と反論する。仕事先の子どもに手を出さないよう、チャットに来る子どもたちで性欲を解消しているということらしい。説教強盗ならぬ、説教性犯罪者である。

 チェコ語で「ネットで」という意味の本作の公開後、チェコ本国では大変な反響があり、チェコ警察が動いたという。同意の上とはいえ“12歳の少女”を演じた若い女優たちを危険にさらす、おとり捜査的な実験方法を問題視する人もいるだろう。カメラを持って自宅へ押し掛ける行為は、カメラによる暴力になりかねない。さまざまな問題をはらんでいるドキュメンタリー映画だが、ネット社会の闇がとても身近なものであり、また非常に悪質であることがよく分かるのは確かだ。

 闇を覗くとき、お前もまた闇に覗かれているのだ。19世紀ドイツの哲学者フリードヒ・ニーチェはそう語った。闇の深さに吸い込まれないよう、心して向き合いたい。

12歳の少女に群がる大人たちの歪んだ欲望! 『SNS 少女たちの10日間』が暴くネットの闇の画像4『SNS 少女たちの10日間』
監督/バーラ・ハルボヴァー、ヴィート・クルサーク
出演/テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァー、サビナ・ドロウハー
配給/ハーク R15 4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマロサほか全国順次ロードショー
c)2020 Hypermarket Film,Czech Television,Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia,Helium Film All Rights Reserved.
http://www.hark3.com/sns-10days

最終更新:2021/04/24 11:00
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