スマホ投資家が、ウォール街に噛みついた「ゲームストック騒動」の炎上が止まらない
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パンデミックでも勝ち続ける富裕層
しかし、話はここで終わらなかった。むしろここからが予想外の展開。
多くのユーザーが使っていた投資アプリのロビンフッドが1月28日、ゲームストップなど猛烈な勢いで株価が上がっていた銘柄について、一時的に取り引きに制限をかけたのだ。
これに激怒したのが、ロビンフッドを愛用していたスマホ投資家だ。同日、複数のユーザーたちが、ロビンフッドに対して集団訴訟を起こした。その主張は、投資プラットフォームであるロビンフッドが、いきなりゲームストップなどの投資を止めることによって、投資家たちの手段を奪って、株式マーケットを不正にコントロールしたというものだ。
そもそもロビンフッドというアプリ名は、「富裕層をこらしめ、弱いものを助ける」という、伝説上のキャラクターをモチーフにしている。これまで投資チャンスに恵まれなかった一般市民を、助けるというメッセージが込められている。
そんなロビンフッドが、表面的には名もなきスマホ投資家たちの戦いを強制終了させ、ウォール街の側についたかのような行動をとったことで、大ひんしゅくを買ったわけだ。
実際には、ロビンフッドは大量の株式の売買注文をさばくため、手持ちの資金が枯渇しかかったために、取り引きをストップしたといわれている。しかし結果として、スマホ投資家が買い続けられなくなったゲームストップの株価は暴落。2月6日時点で、1株あたり60ドルほどの価格に戻っている。
一連の騒動であらためて浮き彫りになったのは、多くの人々の、ウォール街を中心にして運営されてきた、既存の金融マーケットに対する「圧倒的な不信感」と「怒り」だ。
新型コロナのパンデミックによって、米国では小売店や飲食店などはボロボロの状態が続いているが、一方でGAFAなどのテクノロジー企業を中心に、株価はうなぎ上りの状態が続いている。
富める者と、持たざる者の格差が、露骨な形で表出しているのが現状だ。
すでにネットフリックスなどが、映画化に動いているというGME騒動は、米国社会の歪みを映し出しているといえそうだ。
後藤直義(ごとう・なおよし)
1981年生まれ。青山学院大学文学部卒。毎日新聞社、週刊ダイヤモンドを経て、2016年4月にソーシャル経済メディア『NewsPicks』に移籍し、企業報道チームを立ち上げる。グローバルにテクノロジー企業を取材し、著書に『アップル帝国の正体』(文藝春秋)など。
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