スマホ投資家が、ウォール街に噛みついた「ゲームストック騒動」の炎上が止まらない
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イーロン・マスクが株価急騰を「後押し」
「こんな展開になるなんて、予想だにしなかった」
米ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対してそう答えたのは、インターネット掲示板でよく知られている個人投資家のキース・ギル氏だ。
日本の「2ちゃんねる」のような存在であるReddit(レディット)という掲示板に集まっていた、ギル氏のような個人投資家たちは、昨年末からゲームストップの株が値上がりするのではと盛り上がっていたという。
そこで判明したのが、ウォール街で活躍するヘッジファンドたちが、このゲームストップの株価を「空売り」して儲けようとしている事実だった。ウォール街はゲームストップには将来性がなく、株価が落ちれば落ちるほど、儲かるというシナリオに賭けたわけだ。
一方でネット上の名もなき個人のスマホ投資家たちは、こうした空売りに対して、個々人がゲームストップ株を買いまくり、値上げをさせようと、真っ向から戦うことになった。
金融のプロフェッショナルである、ヘッジファンドにひと泡吹かせてやれ――。
そんなストーリーのおもしろさも相まって、1300万人以上のユーザーを抱えている投資アプリのロビンフッドなどでは、ゲームストップの株を買い続けるユーザーが続出した。
「20ドルだった株価が、40ドルになり、誰からともなく100ドルまで上げようと盛り上がった。(中略)気がつけばその株価は、483ドルという空前の値段にまで跳ね上がっていた」(米国のポッドキャストの解説者)
そこに米国でもっとも影響力のある起業家のひとりであり、テスラの経営者であるイーロン・マスク氏も参戦。1月26日(※現地時刻)、ゲームストックで盛り上がるネット掲示板のリンクを貼り付けて、ツイートを投稿した。
「Gamestonk!!」(注:ゲームストップの社名と、株式を意味する“ストンク”を掛けた、マスク氏のギャグだと思われる)
この一言がガソリンのようになり、狂乱騒ぎはさらに加速。オンラインではとんでもない人数がゲームストックの売買に参加。株価は、2週間前の10倍以上の水準まで跳ね上がった。
一方のウォール街では、高い利益を叩き出してきたメルビン・キャピタルなど、有名ファンドが巨額の損失を被ったというニュースが駆け巡った。米メディアなどによると、予想だにしなかった個人投資家たちの“逆襲”によって、このメルビン・キャピタルの1社だけで、数千億円の損失を出したと報じられている。
またウォール街に噛みついた個人投資家たちの盛り上がりは、ゲームストック以外の株式にも広がった。
コロナによって経営危機に見舞われた映画館チェーンのAMCや、かつて一世を風靡したブラックベリーなど、いわばノスタルジー感のある企業たちに、スマホ投資家たちのカネが流れ込んだ。
投資のプロなら絶対にしないような、こうしたイレギュラーな株価の動きによって、ウォール街全体では700億ドル(約7.3兆円)まで損失が広がったという予測も出ている。
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