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インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそば

愛らしくなる無邪気な味

インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそばの画像6
運ばれてきたのがこちら。「American Chop Suey(インド風あんかけカタヤキソバ)」のノンベジは1150円。

 これまでのかた焼きそばに対する常識が、いともたやすく崩れ落ちた。

 具材はタマネギ、トマト、マッシュルーム、エビ、グリーンピース、ピーマン、インゲン、千切りのニンジン、ブロッコリー、ネギ。肉はスパイスで下ごしらえしたマトンと鶏。山頂には目玉焼きが鎮座ましましている(「ベジ」を注文すると目玉焼きがトッピングされない)。

 揚げ麺は中太ライト揚げ、あんかけはマンチュリアン(満州風)ソースをベースにしたものだろうか。トマトケチャップにニンニクと醤油(日本の醤油よりもソースに近いもの)などで味付けしたインド中華の要というべきソースである。

 ……と、ひとしきり羅列してみたが、今読み返してみても脳がクラクラする。定石外の妙手だ。

 郷に入っては郷に従え。
 考えるな。感じろ。

 普通のかた焼きそばであれば大悪手、味覚崩壊待ったなしである。しかし、今回の相手はアメリカ的ジャンクかた焼きそば、コカ・コーラこそ最善手だろう。ジャンクをもってジャンクを制す。

インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそばの画像7
コーラで流し込みながら、考えずに食べる!

 見た目通り、本格的とはほど遠いが、チープかつ適度にスパイシーな味付けがなかなかどうして癖になる。となれば、コカ・コーラとの相性も推して知るべし。しかも、箸ではなくフォークで食す。もはや「食事」というより「おやつ」だ。

 そう思うと、この無邪気で奔放な味がとても愛らしく、どこか懐かしさすら覚える。

 未来を夢見て、希望に満ち満ちていた幼少時の記憶。あの頃は何にでもなれた気がした。それがいつの間にか現実と常識の鎖にがんじがらめになり、窮屈な世の中を生きている。無論、この鎖は自分自身で作り出したものだ――。

 そんな凝り固まった固定概念が、口に含むたび取っ払われ、浄化され、覚醒していく。脳裡では細野晴臣と横尾忠則の共同制作アルバム『COCHIN MOON』収録曲「HEPATITIS」が幻燈画のごとく去来する。

 なるほど、これはまごうことなき「インド」であり、「アメリカ」を感じさせる「中華」だ。印米中三国同盟締結。現実社会では起こりがたい無理難題を、手と手を取り合って解決してみせたアメリカンチャプスイ。

 食の世界はいつだって平和だ。

<INFO>
・南インド料理 マハラニ
住所:東京都江東区大島3-15-29
ランチ   :[火~金]11:00~14:30(L.O.)
               [土日・祝]11:00~15:00(L.O.)

ディナー:[月~金]17:30~22:30(L.O.)
               [土日・祝]17:00~22:30(L.O.)

定休日:月曜日

 

MARUOSA(ミュージシャン)

1980年、大阪生まれ、東京在住。エクストリーム・ミュージシャンとして、これまでに20カ国以上でライブを行い、世界3大メディア・アート・フェスのひとつ「ソナー」(スペイン)、約28万人も訪れる欧州最大級の「ロスキレ・フェススティバル」(デンマーク)、世界最大の音楽見本市「SXSW」(アメリカ)などに出演。かた焼きそば研究家としてテレビ・ラジオ出演やコラム執筆といった活動も行う。

Twitter:@maruosa

Instagram:@maruosa

【maruosa.com】

まるおさ

最終更新:2021/04/16 11:00
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