テレビ朝日「バラバラ大作戦」3つの女性芸人番組に明暗──テレビをやりながらテレビから脱出できるのか
#テレビ #お笑い #テレビ朝日 #芸人 #タカ&ユージ #バラバラ大作戦
ラランド・サーヤの自戒「今テレビやろうとしてた」
ユージ その点でぼる塾は見やすかったのかもしれません。気負いが感じづらいというか。
タカ 気負い、なかったですね。それはやっぱり「カロリーを気にせず料理する」って明確なコンセプトがあったからでしょう。コンセプトとお題って全然違うもので、コンセプトはそれがあれば後はほったらかしにできるけど、お題は出演者たちのいい流れを止めてしまう可能性だってありますからね。ニューヨークの『NEWニューヨーク』(木曜1:56~2:16)も本人任せ風に見せて、実は結構仕込んでるのかなと感じました。「バラバラ」のほかの番組と比べても突出して安定して観てられる。そこはニューヨークの力も大きいんでしょうね。
ユージ 「伝説の番組・人気バラエティー企画をニューヨーク流に新しく見せるべく挑戦する」とはっきりテーマがあった上で、「一発目はニューヨークの2人が考えてください」というディレクターの指示から始まってました。本人たちがどこまで実際に考えたかは不明ですが、挑戦するテーマがかっちり存在してるのでやりやすそうです。
タカ あと、オープニングがテレ朝本社の屋上だったじゃないですか。屋上って開放感があってそれだけで良くなりますよね。全編スタジオの『トゲアリ~』みたいな閉塞感と違って。みんな屋上から始めてあげてくれ!
ユージ 『トゲアリ~』は、スタジオの壁と画角的に昔テレ朝でやっていた『トリオ3』でよく見た画を思い出して笑ってしまいました(笑)。
タカ 『煩悩ごはん』が落ち着いて観れたのも、外の飲食店らしき場所でのロケだったからという要素はありそう。視聴者って、なんとなく見ているつもりでも実はそういうところから「お金かけてるな」「工夫してるな」とか無意識に情報受け取って左右されてるんでしょうね。
ユージ それは実際あるでしょうね。映画とかドラマでも、ロケ地がすぐわかっちゃって醒めるときがあるじゃないですか。おなじみの場所であっても意味があればいいけど、「ロケーション探すコストを省いたのかな」と感じるとがっかりする。『NEWニューヨーク』は屋上、社食、スタジオと複数回絵変わりがあるから観られるところはありそうです。その分、手間がかかってるってことですし。
タカ 『トゲアリ~』のオープニングでサーヤが「ここでやるの、おもしろ(笑)」って言ってたけど、あれはちょっとイヤミ入ってるでしょう、多分。
ユージ あえてああいう何もない場所でやることで、「3人のしゃべりだけでやるんだ」というストロングスタイルを感じさせる狙いなのかな、とは思いましたけどね。だったら、やたらぬいぐるみとクッション置かなくていいですけど……。
タカ 『トゲアリ~』で印象に残ったのが、福田との対立構造をつくる流れに乗りかけたサーヤが我に返って「今テレビやろうとしてた」と言っていた場面も面白かったですね。お約束的なことをやったときに自嘲的に「テレビやってた」って、今の感覚ですよね。
ユージ その後、仕掛けてた加納が「あいつテレビだぞ!」って言われてたのも含めて興味深かったです。
タカ 加納の真面目さが出たな、と思った場面でした。番組タイトルからして「トゲのあるトークをしてくれ」感が出てるじゃないですか。それを真面目に受け取って、福田にアイドル時代の自己紹介やらせたり、ちゃんと回してた。それが「テレビやろうとしてる」感じにつながってるんでしょうね。
ユージ 『アメトーーク』(テレ朝)の「芸人ドラフト会議」(21年3月25日放送)でアンガールズ田中がサーヤを6位指名してました。その理由が「出てるだけで新しい雰囲気になる」「(ほかの指名メンバーがおじさんなので)最終的にサーヤに『最低ですね』とか、若い女性にヒドいこと言われて終わるほうがいい」ということで、それこそ「テレビやらせる」側の理屈ってこうなんだなぁと思ったんですよね。
タカ 『アメトーーク』のあのドラフトはどうしても“テレビ”やらせる目線になってしまうところがありますね。
ユージ そもそもMC+ひな壇7人っていうドラフトの前提が“テレビ”すぎますしね。あの回は、有吉がトシのドラフトに「メンバーは集めたけどよくわかんなくなった日テレの特番っぽい」と言ってたのがいちばん面白かった(笑)。
タカ そう考えると、「バラバラ大作戦」が“テレビ”やらせてる感覚を脱臭するためにYouTube風だったり芸人に丸投げ風にしてるのは道理としては通ってるんですよね。ただ、やっぱりテレビであることは揺るがないので、それがうまくいくとは限らない。目指したい方向の感覚は伝わってくるから、もうちょっとうまく転がっていくことを期待したいです。
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