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テレビ朝日「バラバラ大作戦」3つの女性芸人番組に明暗──テレビをやりながらテレビから脱出できるのか

テレビ朝日「バラバラ大作戦」3つの女性芸人番組に明暗──テレビをやりながらテレビから脱出できるのかの画像1
ぼる塾の煩悩ごはん|民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」より

お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!

心配なのはヒコロヒーの“消費”問題

タカ 4月クールが始まって、テレビ朝日の「バラバラ大作戦」枠で一部番組改編がありました。

ユージ この連載では、枠がスタートしたときにも取り上げましたね。6番組が今春新たに始まって、そのうち3つが若手女性芸人メインの番組です。Aマッソ加納、3時のヒロイン福田、ラランド・サーヤの『トゲアリトゲナシトゲトゲ』、『ぼる塾の煩悩ごはん』、ヒコロヒーと日向坂46齊藤京子の『キョコロヒー』と、いま注目されている若手女性芸人を出したいという意志を感じる並びになってます。初週一通り観てみて、どうでした?

タカ 『ぼる塾の煩悩ごはん』は見やすいつくりでしたね。はっきりしたコンセプトとお題があって。

ユージ 初回ゲストがサーヤ、ナレーションが蛙亭・中野という目配りも効いてました。『キョコロヒー』は発表されたとき「坂道メンバー×ヒコロヒーでテーマがダンスって何?」と思いましたけど、その“謎”感が結構好きでした。「変な番組が始まったぞ」という期待感を抱かせる。

タカ 齊藤京子の声のトーンも低くて、2人のバランスがいいですよね。成立させようとそれぞれが努力していて、その上で調和しそうで調和しない感じが良かった。

ユージ 調和するかと思いきや、齊藤京子がズラシていく塩梅、面白かったです。「わかる~」で終わらないスリリングさが生じていて。

タカ とはいえ気になるのは、ヒコロヒーの“消費”問題ですよ。ネタで評価される前にひっぱりだこになってしまうことに対して、微妙な気持ちになります。「R-1グランプリ」も「THE W」も、まだ一度も決勝にいけてないのに、って。

ユージ わかります。ひどい言い方をすると“ファーストサマーウイカ賢いver.”として需要が生まれてしまってる気がする。

タカ そういう感じでもずっとやっていければいいと思うし、雰囲気がすごくあるからやっていけそうにも思えるけど、やっぱりどこかでネタで結果を出してほしいというのはどうしてもあります。

ユージ ただ、「ネタで勝負できなきゃいけない」というのもちょっと違うかもとも思うんです。第7世代の男性芸人でも、霜降り明星とハナコは賞レースで優勝して一気に爆発しましたけど、EXITとか四千頭身、宮下草薙はそこから出てきたわけじゃない。だからヒコロヒーにだけその目を向けるのは、こっちの勝手なのかもしれない、と。

タカ まぁそうですね。でもやっぱり、このままいったらいつかそこで壁にぶつかると思うんですよ。今挙げた3組にしても、「ネタがしっかりしてる」という評価はあるじゃないですか。一昔前なら、加藤(浩次)みたいに特にネタで天下とったわけじゃなくてもMCで天下とれたけど、いまは男も女もネタがしっかりしてないと残れなくなってる感じがするんですよね。ヒコロヒーのネタもしっかりしてるけど、なかなか一般的に浸透してない感じが。

ユージ うーん、たしかに、それはそうか。ヒコロヒーのネタ、僕は好きで面白いと思ってますが、3組に比べたらそもそも視聴者がネタを観た回数自体が少ないんですよね。キャラクター先行で売れているというか。ネタが観られて評価を受けるチャンスとして賞レースがあるわけですが、EXIT、宮下草薙、四千頭身は漫才師なので「M-1で結果を出す」になって高い壁になる。一方、女性のピン芸人だと「THE W」と「R-1」で二箇所の可能性があった。

タカ 吉住に「コスパがいい」と言われた「THE W」には、いってほしかったですねぇ。いや、吉住もとっさに出ただけで、他意のない発言なんだけど。

ユージ 単純に2020年のエントリー数でみても「M-1」が5081組なのに対して、「R-1」は2746名、「THE W」は646組ですからね。もちろん、だからといって簡単なわけがないですよ。それはわかった上で。

タカ 逆に、こういう新番組の顔ぶれに吉住が入っていないのも矛盾してるんですけどね。とはいえ、『キョコロヒー』のディレクターは『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞』と同じ人ですよね。だからいろいろ考えてつくってるんだろうなとは思います。見守りたい番組ですね。一方『トゲアリトゲナシトゲトゲ』は、初っ端からディレクターが本人たち任せで進める様子が全開で、そこが微妙でした。「バラバラ大作戦」全体として、本人任せでつくるコンセプトなのか? というのは枠が始まったときからずっと疑問です。予算がないのはわかるけど、本来はそのぶん制作側が頭を使わないといけないわけじゃないですか。

ユージ テレビ側の“都合”でつくる番組が「古い」とされるようになったがゆえに、制作側の意向だけでつくっていない空気を出すようにしてるのかな、と思います。

タカ それはあると思うけど、もっとやり方があるんじゃないか? と思ってしまう。いや、どっちかというと、『イグナッツ‼』だって、ほったらかし風なのに微妙なお題ばっかり出して、全然ほったらかしどころか、無駄なお題与えてんじゃねーよってときもある。どの番組も出演者は若手だから、せっかくのチャンスを無駄にしないように必死で成立させてましたけど。「バラバラ大作戦」って、作り手も出演者も「始まるぞ!」って気負いを出すじゃないですか。そのわりに内容がゆるいから、アンバランスなんですよね。

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