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コロナ禍で変わる「父親と育児」──家族のタスクを管理し、家庭内分業を円滑する”ベビーテック”の最前線(後編)

──日本でも、女性の地位向上やLGBTQなどへの意識が高まり、それにともなって求められる男性像も変化している。育児においては、いまだにその主体は女性側にある、または女性側に重きが置かれているといわれる中で、それらをデジタル機器やIoTで解決するために「ベイビーテック」にも注目が集まっている。(サイゾー21年1月号「男性学」特集より一部転載)

コロナ禍で変わる「父親と育児」──家族のタスクを管理し、家庭内分業を円滑するベビーテックの最前線(後編)の画像1
「ainenne」公式サイトより

 前編では市場拡大するベビーテックを紹介してきたが、日本のベビーテックシーンに言及する際、忘れてはならないプロダクトがある。ベンチャー企業、ファーストアセントが開発する「ainenne」だ。これは人工知能で赤ちゃんの泣き声を分析し、感情を知らせてくれるという前代未聞の商品で、「CES2021」でも、イノベーションアワードを受賞した。

 使い方としては、赤ちゃんの枕元に置いておくだけ。泣き声を自動的に記録・解析し、泣いている理由を可視化してくれる。おなかが空いているのか、暑いのか、おむつを交換してほしいのかなど、特に赤ちゃんを迎えたばかりの新米パパには心強いツールとなるだろう。

 なお人工知能を使って、言葉を話せない赤ちゃんの体調不良やアクシデントをいち早く察知するというコンセプトは、海外の大手IT企業も着目しているところだ。過去には、グーグルが赤ちゃんの行動を観察して、異常行動を発見した際には親や保護者に知らせる技術を開発し、特許を申請したという報道もあった。

 特許の内容は、赤ちゃんの目や動作、また音を追跡するシステムで、高画質動画監視装置とAIエンジンなどで構成されている。 特許申請されたシステムでは、複数の要素から赤ちゃんの「不快さ」を判断。赤ちゃんが体を何度も反転させていた場合、暑過ぎる・寒過ぎるなど不快さを表すシグナルとなるが、それをAIが判断するというものだ。また瞳孔や虹彩などを観察し、赤ちゃんが起きているか、眠っているかなど覚醒・睡眠状態を把握することができる。さまざまな分析データを基に、仮に赤ちゃんが不快な状態であると判断すると親に通知が行く仕組みだ。

 世界的なIT企業であるグーグルがベビーテックに関心を見せているというのも興味深い話題だが、実は前述のIoTおむつ・Lumiとも遠からぬ関係がある。Lumiのシステムは、グーグルの親会社アルファベットのライフサイエンス研究組織であるVerilyと提携先のLogitechが共同で開発したものだ。今後、ベビーテックは巨大な市場になるとされているが、誰もが知っている大手IT企業が開発したAIやIoT技術を搭載した製品が普及していく日は着々と近づいているようだ。

 また、ベビーテックにはここで紹介した以外にも、体調を管理するアプリやオンライン学習サービス、妊婦用の商品など幅広いラインナップがある。育児に悩んだタイミングで、テクノロジーに頼るという選択肢は、次世代の父親たちにとってひとつの解決手段になるかもしれない。

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