山田孝之、齊藤工、竹中直人の異能監督が共作! 秘密や嘘が、退屈な日常を塗り替える『ゾッキ』
#山田孝之 #竹中直人 #齊藤工 #ゾッキ
刑務所帰りの男役で、ピエール瀧が俳優復帰
竹中直人、齊藤工、山田孝之がどのエピソードを監督したかは、エンドロールで流れるクレジットを見てのお楽しみとなっているが、3人の監督たちは演出スタイルだけでなく、キャスティングにもそれぞれの好みが反映されている。
竹中直人の監督パートは、竹原ピストルや倖田來未らミュージシャンたちが多数起用されている。齊藤工監督パートはお笑い系からのキャスティングがうまくハマった。山田孝之監督パートは、山田が気になる俳優たちを配役した形となっている。『幼な子われらに生まれり』(17)や『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)で熱演した若手女優・南沙良の美少女ぶりが、ひときわ印象に残る。山田プロデュース作『デイアンドナイト』でヒロインを演じた清原果耶のように、南沙良も近日ブレイクするに違いない。また、刑務所帰りの男役でピエール瀧が俳優復帰を果たしているのは、『凶悪』(13)などで共演した山田のことを信頼してだろう。
秘密がまるでない人よりも、秘密を持った人の方がミステリアスで、魅力的に思えてしまう。原作者である大橋裕之は高校卒業後は地元の会社に就職し、退屈な日常に絶望しながらも、小さな嘘(フィクション)の数々を漫画として描き続けた。そして描き溜めた作品をこっそりと自費出版することで漫画家デビューを果たし、絶望的な日常から脱することに成功した。秘密や嘘がなければ、人生は死ぬほど味気ない。
どうでもいい嘘や秘密を抱えた人たちが偶然のように出会い、そしてすれ違っていく。映画『ゾッキ』は、そんな人生の一部分を愛知県蒲郡市という地域限定で切り取ってみせる。ちなみに竹中直人に漫画を貸した前野朋哉は、本作にはキャスティングされていない。うまくつながることもあれば、つながらないこともある。咲かない花も、たまにある。それもまた、人生なのかもしれない。
『ゾッキ』
原作/大橋裕之 脚本/倉持裕 音楽監督/Chara
監督/竹中直人、山田孝之、齊藤工
出演/吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー(コウテイ)、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺祐太朗、石坂浩二、松田龍平、國村隼
配給/イオンエンターテイメント 4月2日より全国公開中
(c)2020「ゾッキ」製作委員会
https://zokki.jp
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