吉本興業が“高齢芸人”を手厚く優遇…若手芸人の稼ぎが「アホの坂田」らベテラン陣を支える
#吉本興業 #大崎洋会長 #坂田利夫
4月1日から、“高齢者の働き方改革”として施行された、改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)。これにより、本人が希望すれば、70歳まで働ける環境を整備することが企業の“努力義務“として課されるようになったが、忍耐力のない中小企業には負担が大きく、状況が改善されていないのが現状だ。
しかし、芸能界では、お笑い王国の吉本興業が、以前から高齢芸人の働き方改革を実施していることが、同社の大崎洋会長への取材で明らかになった。
「うちは、若いうちはギャラは安いですが、年を取っても面倒を看るのが伝統なんです。昔から、高齢者芸人を優遇しています。吉本のレジェンド芸人であるアホの坂田さん然りです」
吉本には、霜降り明星などのように、吉本総合芸能学院「NSC」を経て、オーディションに合格して、吉本に所属する芸人もいれば、タカアンドトシ』(札幌吉本)や博多華丸・大吉(福岡吉本)のように地方から、主戦場である東京に出てくる者もいる。さらに近年は、新プロジェクト “住みます芸人” で地方や海外を拠点にする者、それに吉本伝統の吉本新喜劇のメンバーを入れると、約6000人のタレントが所属していることになる。
「そのうち、高年齢者芸人は、吉本新喜劇の桑原和男(85歳)を筆頭に、チャーリー浜(79歳)や池乃めだか(77歳)。それに数人の高齢芸人がいますが、皆さん、元気に舞台で活躍しています。ほかにも、文化功労賞を受賞した西川きよし(74歳)や、吉本の特別顧問を務める笑福亭仁鶴師匠(84歳)、落語家の桂文枝(77歳)などを含めれば、約40人くらいの高齢芸人が所属しています」(吉本関係者)
吉本は「なんばグランド花月」を始め、大阪を中心に全国で17の劇場を運営。そこでは伝統的な吉本新喜劇の体制が組まれ、高齢芸人も体調を考慮して随時、劇場に出演できるシステムになっているという。
他方で、若手芸人たちが稼いだ金の一部が、高齢芸人を支えているのだと、吉本の元社員は力説する。
「公にはできませんが、高齢芸人が舞台に上がると、吉本は通常のギャラを高く払うと聞いてます。よく売れっ子の若手芸人は『吉本に持っていかれるマネジメント料がえげつない』というようなことを言って、時には事務所を離れる者もいますが、彼らの稼いだ金の一部が高齢芸人を支えているという側面もある。吉本から徴収されるマネジメント料は、吉本の経営を支えるのはもちろん、将来の自分達をも支えてくれる年金のようなもんですよ」
吉本の高齢芸人の中でも“レジェンド”と呼ばれている“アホの坂田”こと坂田利夫は、79歳になっても、舞台だけでなく、映画、ドラマ、CMと八面六臂の活躍を見せている。
「昨年1月に公開された映画『嘘八百 京町ロワイヤル』では、“よっちゃん”役のとぼけた演技で主演の中井貴一を食っていましたよ。テレビ東京が地上波の限界に挑んだ深夜ドラマ『浦安鉄筋家族』では、アホの坂田がアホの限界に挑んで、若者から支持されたんです」(制作会社スタッフ)
大崎会長も、「坂田さんは、なんばグランド花月に上がるとき、“体が弱い”といってマネジャーを始め、何人かの吉本社員に体を支えられながら舞台に上がるんですが、いざ舞台に上がると、シャキッととしている。ホンマに体が弱いのか? わかりませんわ」と感心する。
反抗する若手芸人には毅然とした姿勢を見せるが、高齢芸人は優遇する吉本。筆者も高齢側に入る人間ゆえ贔屓目もあるかもしれないが、吉本には“70歳就業法”は必要ないということか。
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