“美しすぎるカーリング選手”「容姿に注目しないで」問題提起の理想と現実
#カーリング #美しすぎる #市川美余
容姿にコンプレックスを抱く人は歯ぎしりしてしまいそうだが、容姿に恵まれた人には恵まれたなりの戸惑いがあるようだ。
10年ほど前からしばしば使われるようになった「美しすぎる(美人すぎる)○○」という表現。○○の中には、議員、海女さん、バイオリニスト、歯科医、料理研究家ほか、これまで数え切れない美人すぎる女性が登場してきたが、「美しすぎるカーリング選手」と呼ばれたカーリング元日本代表の市川美余だ。
長野県軽井沢町出身の市川は、2011年から日本選手権で4連覇すると、その可憐なルックスが話題になったが、女子スポーツの進むべき道を問う朝日新聞のインタビューで、怒りを爆発させた。その内容を抜粋すると、
「容姿ばかり話題にされ、悲しかったし、はがゆかったです」
「今もイベントに呼ばれれば、『美しすぎるカーリング選手の~』と紹介されます。ラベルを貼られたら、もう自力では切り離せないのです」(4月3日付朝日新聞より)
といったもの。「本当の面白さ 競技の中に」という見出しが付けられており、競技より容姿が注目されることに不満があったようだ。この“容姿至上主義(ルッキズム)”について社会学の研究者はいう。
「ここ数年、ルッキズムに関する理解が飛躍的に進み、『美しすぎる』という表現はメディア上では徐々に消えていくものと思われますが、一般レベルでは、『キレイな人を褒めて何がいけないの?』というのが多くの人の本音でしょう。今回、元カーリング選手が問題にしたのは容姿ですが、身長、体重、3サイズ、胸のサイズ、足の長さ、毛髪の量などもルッキズムの対象になり得る。そういった属性にすべて触れないのが、ポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的公正)としては正解です」
新体操、フィギュアスケート、アーティスティックスイミングといった採点競技なら、見た目が点数に影響し得るがゆえに、容姿に言及する意味はなくもないが、カーリングは純粋に得点を競うスポーツ。ただ、市川の訴えに、取材現場の人間は違和感を覚えるという。
「アスリートが『ちゃんと競技のことを注目して欲しい』と言いたくなる気持ちはわかります。これまでも、福原愛の『サーッ』しかり、ラグビーW杯の“五郎丸ポーズ”しかり、“そればっかり”というブームは何度もありましたから。
けれども、冬季五輪の時しか話題にならないカーリングは、何か“プラスアルファ”がなければ報じる価値がありません。実際、いまカーリングの男子世界選手権が開催されていますが(2日から11日まで)、まったく話題になっていませんよね? 確かに我々は彼女たちのルックスを利用しましたが、それでカーリングが話題になったのだから、我々の関係は“持ちつ持たれつ”のはず。ハシゴを外されたような気分です」(スポーツ紙デスク)
“有名にしてやったんだから、文句を言うな”という風にも聞こえるが、テレビや雑誌などへの露出が増えれば、その後、イベントやテレビ番組に呼ばれたり新たなスポンサーが見つかったりといった恩恵もあったはず。また、市川に関してはこんな声もある。
「市川は引退後、Huluでピラティスの番組を公開していますが、ガッツリ胸元が開いたタンクトップで登場して豊満な胸の谷間を見せつけ、グラビア方面に行くのではと、関係者の間で話題になりました。結局そちら方向の展開はありませんでしたが、あの動画を見てしまうと、どうしても“美しすぎる”と言いたくなるのもわからないでもない」(芸能事務所関係者)
市川の問題提起は今後も考えていかなければならないテーマだ。より一層メディアの側も配慮が必要になるだろう。
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