東京五輪「中止」をIOCと世界のアスリートが望まないワケ 国際大会は行われているから海外選手の来日は楽勝!?
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世界選手権の“バブル”方式でやればいい
しかし、そうは言っても現実的に東京で開催できるのだろうか? コロナ禍において「予選は行えるのか」「選手は日本に来られるのか」、あるいは「大会のレベルが下がるのではないか」といった声も聞かれるが、スポーツライターのB氏は次のように話す。
「まず予選に関していえば、着実に進んでいます。直近だと、3月28日にサッカーの北中米カリブ海予選の準決勝が行われ、そこで勝利したメキシコ代表とホンデュラス代表が出場権を獲得しています。また、3月中旬には欧州4カ国でハンドボールの最終予選が開催され、出場全12カ国が決定。野球の予選も6月にアメリカと台湾で予定されています。あるいは、水球は出場チームの決定はおろか組み合わせ抽選まで終わっている」
そして、これら予選と同様に、すでに海外ではスポーツの国際大会が開催されているのだ。
「例えば、今年の1月にはエジプトでハンドボールの世界選手権が行われ、日本チームも出場しました。そこでは“バブル”方式という、選手やスタッフのみならず報道陣も含めて一般社会の人々から完全隔離する方式が採られ、何度も行われるPCR検査でカーボベルデという国から2人の陽性者が出たものの、大会自体はつつがなく終了しています。IOCのトーマス・バッハ会長も『この経験が東京五輪にも生きる』と高く評価しました。また、2月下旬から3月上旬にかけて、ドイツでノルディックスキー世界選手権も開催されています」(B氏)
よりメジャーなスポーツとしては、20年9月にゴルフの全米オープンが、同年12月に全米女子オープンが開催された。さらに、今年2月に有観客で行われたテニスの全豪オープンで大阪なおみが優勝したことも記憶に新しい。
「大会のレベルに関しても、特に心配する必要はありません。さまざまな競技を取材しても、トップクラスの選手たちに大きな影響は感じられないので。彼らの多くは限られた条件や環境の中、工夫して練習や試合に取り組み、一定の競技力は維持している。実際、去年の9月に開催されたダイヤモンドリーグ陸上のローマ大会では棒高跳びの世界新記録も出ていますしね。団体競技に関しては実戦経験が減少しているケースが目立ちますが、関係者の多くは『対策は考えなければいけないが、条件はみんな一緒だから』と話しています」(同)
ただし、トップクラスではない選手に関してはその限りではない。
「スポーツ後進国と呼ばれるような国の選手は、練習環境が整わなかったり予選に出られなかったりするケースもあるかもしれません。でも、残酷な言い方になってしまいますが、彼らはメダル争いに絡んでくるような選手ではない。そういう意味で、レベルの低下にはつながらないといえます。それがオリンピックの理念にかなう状態か、という問題はありますが」(同)
ここまでの話のポイントは、各国から多数の選手が集まる国際大会が、数字の上ではコロナの感染状況が日本よりもはるかに深刻なアメリカやヨーロッパで開催されていることだ。
「欧米から見たら日本は感染者数も死者数も少ないし、ロックダウンもしていない。かつ日本はスポーツ大会の運営能力も高く評価されていますから、IOCとしても『じゃあ、できるよね?』『東京五輪もバブル方式でよろしく』と思っているはず。逆にいえば、もし今回の五輪の開催地がロンドンやパリだったら、IOCも『いや、これは無理だろ』と判断したかもしれません。結局、IOCが中止を決定しない限り、選手も関係者も開催に向けて準備するほかなく、着々と外堀が埋められているというか、埋めざるを得ない状況なんです」(同)
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