BALLISTIK BOYZ「Animal」は眠っていた曲だった──JAY’EDが語るLDHのクリエイティブと葛藤
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ここ数年の音楽シーンに欠かせないのが口コミ。SNSでの好リアクションがあれよあれよと膨れ上がり、予想だにしないヒットへと繋がっていくケースも珍しくない。
そんな時代の波に乗る形で大きな反響を呼んだのが、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEが歌う「Animal」。従来のLDHグループの作風とは一線を画したR&Bサウンド、スリルとセクシーが同居する甘いボーカルワークなど、世界のマーケットでも通用し得るスタイリッシュな所作に溢れた同曲は、ファンのみならず幅広いリスナーに訴求。ミュージックビデオ(MV)が公開されるとその勢いは一気に加速し、SNSでは「かっこいい」の声があちこちで沸き起こることとなった。
これほどのバズを記録したのは当然、BALLISTIK BOYZのメンバーそれぞれのスキルと健闘があってのことだが、楽曲の質の高さが称賛されている以上、裏方の立場から魅力を吹き込んだクリエイターたちの名仕事ぶりも忘れてはならないだろう。
そこで今回は、「Animal」の作詞を担当したJAY’EDにインタビューを敢行。自身もLDHに所属するJAY’EDは2008年にメジャーデビュー後、実力派R&Bアーティストの地位を確立。近年では数々のアーティストに楽曲提供を行い、クリエイターとしても注目を集めている。見事なブレイクスルーとなった「Animal」に、JAY’EDはどのような姿勢で臨んでいたのか。クリエイティブの世界に足を踏み入れた際のエピソードなども交えながら、現在の胸の内を語ってもらった。
──「Animal」、大反響です。J-POP好きにはもちろん、R&BやK-POPを偏愛している層からも「この曲はヤバイ」と言われてます。
JAY’ED 実は知らなかったんですよね……そんなすごいことになっているのかと(笑)。
──BALLISTIK BOYZの既存のファン以外にも曲が届いているわけですが、JAY’EDさん自身、この現象をどう捉えていますか。
JAY’ED 今はHIPHOP全盛で、R&Bはちょっとここ数年、落ち着いているじゃないですか。だから、R&Bの直球がこんなにウケるのはうれしいですよね。正直、最初にトラックを聴いたときに「できれば自分が歌いたい!」と思ったほど、いい曲だなと思ったし、歌詞を作る時にも「これは気合入れなきゃ」と。
──JAY’EDさんは作詞のみに関わっているんですよね?
JAY’ED 曲の制作の段階で、僕もアメリカに行ってたんですよ。2~3年前ぐらいに何人かで海外作家たちの制作の現場に勉強も兼ねて行っていて、そこでのセッションで生まれた曲のひとつなんです。トラック自体は原型の段階からほとんど変わってないんですけど、当時から「タイムレスに聴けそうなサウンドだな」と思っていました。R&Bが好きな人にはもちろん、音楽に詳しくない人にもスッと入ってくるサウンドですよね。最初はBALLISTIK BOYZも英語歌詞で仮歌を入れたんですが、でもそこからずっと眠っていたんですよね。
──めちゃくちゃ良い曲なのに、すぐにリリースということにはならなかったんですね。
JAY’ED スタッフとも「この曲は眠らせちゃダメだぞ」と言っていたんですけどね。いわゆるダンサブルな“LDHらしいサウンド”からも飛び抜けているし、今の時代ってそうやって飛び抜けたものがあってもいいじゃないですか。あとはステイホームの影響で、家でも聴ける音楽を求めていた人たちのフィールと、この曲のチルな要素がうまくフィットした部分もあるんじゃないかなとも思いましたね。
──図らずも2年寝かせたことで、より時代の雰囲気にマッチすることになったということですね。そして、MVにもたくさんの好評価が寄せられています。
JAY’ED 2000年代のR&Bボーイズグループのようなキュンキュンする仕草が詰まっていて、かっこいいですよね。日本でもこういうことができる時代になったのか~と、彼らのダンスを見て感動しました。
──作詞を担当する上でこだわった点を教えてください。
JAY’ED スタッフさんからもらった「BALLISTIK BOYZの大人な部分を見せたい」というオーダーをもとに、ほどよいエロさも意識しながら作っていきました。メンバーとは何度もセッションする仲なんですけど、本当に活発でストリート感のある子たちなんですよ。一方で、まだあどけなさが残っているところも魅力的だなと僕は思っているので、その辺のキャラクターがうまく反映できたらいいなと。
──ブリッジの<思うままに/そう思うままに>を筆頭に、日本語なのにどこか英語に聞こえるフレーズが多くて面白かったです。JAY’EDさんらしい詞の乗せ方だなと。
JAY’ED そのパート、実はメンバーから「英語で歌いたい」と打診があったんですけど、僕の意向で日本語を使わせてもらったんです。<思うままに/そう思うままに>のフレーズは曲中で初めて登場するパートの頭に来る歌詞なので、その最初の言葉が英語ではメロディも含めて聴いてくれる人に引っかかりを残せないような気がして、どうしても日本語でインパクトを表現したかった。逆にサビの<I’m a wild, wild animal>の箇所は、エロさを引き出す目的でデモバージョンからあった英語詞をそのまま採用しています。「Animal」に限らず、クリエイティブに向き合っていると「ここのポイントはどうしてもこの言葉を通したい」という思いがふと湧き上がってくることがあって、その直感に頼りながら曲を作ることが多いです。
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