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『青天を衝け』高良健吾はただの当て馬じゃない! 渋沢栄一の従兄弟・喜作の数奇な人生

土方歳三らと共に「箱館戦争」へ…喜作の波乱万丈な人生

『青天を衝け』高良健吾はただの当て馬じゃない! 渋沢栄一の従兄弟・喜作の数奇な人生の画像2
渋沢成一郎(1838-1912)

 旗本など幕府に代々仕えてきた家の若い武士たちを中心とする部隊でもありましたが、その「彰義隊」を作り、当初、その隊長を勤めていたのが渋沢喜作だったと聞くと驚いてしまうかもしれません。「大義名分を明らかにする」という意味の「彰義隊」の名前を決めた一人も喜作でした。

 しかし、喜作は彰義隊内の人間関係に失敗しました。その結果、彼は暗殺されそうになって早期に脱隊しています。その後、彰義隊は江戸に侵攻した明治新政府軍と交戦、壊滅させられたので(上野戦争)、喜作の早期脱退は不幸中の幸いだったといってもよいかもしれません。

 その後の喜作には旧幕府軍の戦闘員として、明治新政府軍と戦いつづける日々がはじまりました。元・新選組の副長である土方歳三らと合流、共に北海道に渡り、「箱館戦争」を彼らは共に戦うことになります。

 土方は箱館戦争末期に流れ弾にあたり、亡くなりますが、喜作は戦を生き抜き、最後は新政府軍に無念の投降をしました。ハードボイルドな戦のシーンでこそ、高良さんの俳優としての本領が発揮されていくのではないでしょうか。なお、『青天~』で土方歳三を演じるのは町田啓太さんだそうですよ。

 喜作は牢屋に何年も入れられていますが、フランスから帰国した渋沢栄一の手で解放され、二人は共にビジネスの世界に入るのでした。実に波乱万丈な喜作の生涯、ぜんぜん知らなかった人のほうが多いかもしれませんが、こうやって見ると興味が湧いてきませんか?

 これ以降は、また別の機会にでもお話しましょう。

 ちなみに、都内の結婚式場として有名な「八芳園(はっぽうえん)」(港区・白金台)は、明治末期に渋沢喜作が住んでいたお屋敷がもとになっています。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 11:50
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