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『フリースタイルティーチャー』押韻しない末吉9太郎 VS SAMをリスペクトして踏みまくる宮里ソル

『フリースタイルティーチャー』押韻しない末吉9太郎 VS SAMをリスペクトして踏みまくる宮里ソルの画像1
フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)

 3月24日放送『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)にて、「男性アイドルラッパー育成SP」総当たり戦の3週目が行われた。今回は、宮里ソル(円神) & 崇勲ペアの2連戦だ。

宮里 VS 岡野、盟友同士のエモいバトル!

 第1試合は、宮里ソル & 崇勲 VS 岡野海斗(Boom Trigger) & KEN THE 390のバトル。宮里と岡野は、共に“プデュ”こと公開オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS系)の出身者である。つまり、かつての盟友同士の対戦だ。2人の関係性から、この一戦ではエモいライムが幾度も飛び出した。

【Round1】
岡野 「円神の宮里ソルが今 目の前におる
    これ 何か懐かしい マジで俺は感動
    こうやってこの舞台にお前と立てることに感謝してる」
宮里 「海斗 こいつは男友達 俺 相手ならば元も子もない
    何 こいつが言ってた『プデュのシンバ』だ?
    なぁ 俺なら なっちまうぜ アイドル界のムファサ」
岡野 「プデュのシンバ? そんなものはとっくに捨てた
    俺は上がってきたんだ」

【Round2】
宮里 「貰ってんだろ 親の愛情 最後に言ったる 最高な相棒」
岡野 「『最高な相棒』それは受け取った
    でも そのフレーズしか俺は受け取る気はねぇぜ
    お前とはここではライバルみたいな感じで
    どんどん潰すだけ マジ サバイバル」

 お互いを「最高な相棒」と認めた2人。リスペクトしながらディスり合っているのが伝わってくる。

 旧知の仲とのバトルに緊張が解けたか? 初戦で精彩を欠いていた宮里から言葉がスラスラと出てくるのだ。ただ、用意してきたネタに頼り過ぎているきらいがある。そこを岡野が突いた。

岡野 「お前さっきから色々 ちょこちょこライム踏んでってるけど
    ライム数で勝ててもダメだぜ 意味ない
    バイブスで勝てないと このステージ上がれない
    だから これは分かる?
    ライム数で稼ぐだけじゃなくてバイブス 客 沸かす事が大事です」

 押韻頼みを指摘しながら、自らは「ライム数で」「バイブスで」、「意味ない」「勝てない」でちゃっかり踏みながらディスった岡野。うまい! これは刺さった。押韻もアンサーもしっかりこなした岡野がこのバトルは勝利した。ちゃんと力を発揮すれば彼は強い。今夜放送の岡野 VS 水野勝(BOYS AND MEN)の対戦が楽しみである。

敵の師匠・SAMのパンチラインを引用する宮里

 第2試合は、宮里ソル & 崇勲 VS 末吉9太郎(CUBERS) & SAMの一戦。バトル前、9太郎は「ヒドい事だけは絶対に言わないでね!」と宮里に懇願した。彼はいつも“ヒドいディスNG”を相手に伝えている気がする。毎回、この戦略で行くのか? もうそれは相手に読まれているし、あまりいい策とは思えないのだけど……。案の定、宮里は約束を守らなかった。

宮里 「そんな事言ってっからさ お前 そんな顔面になるんだわ
    もうちょい 意味のある言葉 吐けよ」
   「お前はしてなよ ファンデーション チャレンジしに来な 3年後」

 宮里恒例の容姿、顔面ディスである。9太郎はペースを崩さずにアンサーを返した。

9太郎 「僕 ファンデーション大好き
     よくデパ地下の下で 僕 色んな化粧品
     『あ これいいかな』とか選んでるから
     今度一緒に選びに行きましょう
     あのねRMKが良いよ あのね
     ライブの時に汗かくじゃん それで全然落ちないの」

 バトル中にRMKのファンデーションをプレゼンするラッパーがいまだかつていただろうか? 「RMK」と言われた瞬間、「何それ?」と顔にクエスチョンマークが浮かぶ宮里の表情が印象的だった。結果、Round1は宮里が勝利した。9太郎の面白さより宮里の韻の数が評価された形だ。

 宮里の押韻主義は続く。Round2ではこんなライムが飛び出した。

宮里 「お前は可愛い9太郎 ラップのスキル 伸びない プー太郎
    やり直してこい 中学校 俺 今日なっちまうぜ 軍団長
    俺の韻なら超固いぞ まるでペリーだ 黒船来航」

 そういえば、宮里は岡野戦で「こいつは男友達 俺 相手ならば元も子もない」という押韻も放っていたはず。「黒船来航」を用いるライムはSAMの十八番だし、「男友達」「元も子もない」の踏み方はID戦(戦極MCBATLLE第18章)でSAMが披露したパンチラインだ。今シーズン初回、宮里はSAMのスチューデントになろうと熱烈アピールを仕掛けていた。宮里のSAMリスペクトが半端ない! “押韻伝道師”SAMのスチューデントなのに韻を踏まない9太郎と、SAMへの憧れを隠さない宮里。面白い逆転現象が起こっている。

 あと、宮里のスタイルにはどこか韻マンに近いものも感じる。

宮里 「点けるぜ タバコの火 Just wanna be お前にかかと落とし
    HIP HOPに片想い お前負けてしなよ 山登り
    お前を今日は生殺し そして最後にしてやる 卵とじ」

「タバコの火」「かかと落とし」「片想い」「山登り」「生殺し」「卵とじ」と踏みまくる宮里。相当、練習を頑張ったのだろう。努力の跡が窺えた。アンサー力と即興性が高い9太郎と、仕込んだネタの弾数で勝負する宮里といったところか。

 ただ、9太郎も踏もうと思えば踏めるのだ。韻の数で負けてRound1を落とした彼は、すぐに韻で挽回した。

9太郎 「そういう事 言うとこ 軽率に言うとこ 冷酷
     そこを僕が警告 僕は全国に愛を届ける」

「冷酷」「警告」「全国」で踏みまくる9太郎。隠していた爪を急に出してきてビビる。さらにRound3では、宮里の「声帯」と「活動停滞」を心配し、「携帯」ばっか見んなと指摘されたら「エゴサしてただけ」と反論。そのうえ悪口には「抗体」があると言い返した。意外なほど緻密だ。やはり、この人は曲者である。

 一方の宮里は徹底して愚直。己のスタイルを貫き通した。「ヒドいディスはやめて」と言われてもディスラップをやめないし、「声帯が心配」と言われたらいきなり声を荒げるし、崇勲から「この試合は韻を捨てろ」とアドバイスされても無視して押韻しまくった。宮里の天邪鬼が評価されたか、このバトルは宮里の勝利! 「プデュのシンバ」を捨てた岡野と、押韻を捨てなかった宮里。どちらも、ようやく力を発揮してきた。

 確かに、どの出場者も綺麗に踏んでいると思う。みんな、点数的には悪くない。頑張っている。ただ、あまり個性が感じられないのだ。量産型ラッパーのバトルが見続けている印象。せっかくの男性アイドル編である。それぞれの良さが伝わるバトルをもっと見たい。

 そういう意味で、なんだかんだファンを増やしつつある9太郎のタレント力はさすがだと思う。特に、ZeebraとLiLyは9太郎にハマり過ぎである。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/03/30 23:00
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