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日刊サイゾー トップ > 社会  > 東京大空襲から76周年、在日朝鮮人たちの現状…
東京大空襲76周年

東京大空襲から76周年目の今、在日朝鮮人たちの置かれた現状… 掲げられた「多様性と調和」とは一体?

「やられたらやり返さない」という選択

 前出のとおり、日本政府が朝鮮学校を無償化制度から排除する理由として、朝鮮学校の運営母体となる在日朝鮮人団体と北朝鮮との関係を指摘し、関連して拉致問題が解決されていないことに触れている。

「安倍前首相も菅首相も、金正恩委員長と無条件で対話したいと語りました。日本のメディアは一切報じませんが、もう3年も前から北朝鮮は条件を出しています。それが朝鮮高校や幼稚園の無償化からの排除という、あからさまな差別政策からの是正です。本当に首脳会談を実現したいのなら解決すべき課題はすでに明らかなのです」(前出有田氏)

 拉致問題が解決していないから、朝鮮学校を排除する。「やられたらやり返す」では未来志向的な関係構築が難しい。

「政府は拉致問題の解決を棚上げしたまま、朝鮮学校を無償化から排除し続けています。また小池都知事は、2017年の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼会追悼文を取りやめ、朝鮮人虐殺や差別の歴史についてなかったことにしようとしています。新しい未来を創造するためには過去の過ちを直視し、しっかりと記憶し続け、後世に活かしていかなければなりません」(前出・けしば氏)

 日本が朝鮮半島の植民地支配を開始したとされるのは1910年。時代は明治から平成、そして令和へ。在日朝鮮人は1世から4世、5世へ。

「植民地時代から地続きの在日朝鮮人への差別も、ますます激しさを増しています。私たち在日朝鮮人は、日本の帝国主義が起こした植民地支配の過ちを、その存在をもって立証する生き証人です」(前出・在日朝鮮人学生)

 現在開催されている「第93回選抜高等学校野球大会」の5日目、韓国系学校だった京都国際の生徒たちよって韓国語の校歌が流れ、盛大な拍手が巻き起こった。東京オリンピック2020の大会ビジョンには「多様性と調和」、共生社会を育む契機とすることが明記されている。

 20年、日本では韓国ドラマ「愛の不時着」が大ブームを巻き起こした。日本には“愛”は不時着したものの、まだまだ“未着のモノ”も多いようだ。いま日本には、響きのよいキャッチフレーズだけではなく、真の共生社会実現に向けた実体性の伴う対策が求められている。

金沢健太(ジャーナリスト)

明治大学卒業。"日本一厳しい学校"で日本の昭和体質に長年の疑問を感じており、令和に入り一念発起。ライターとして独立し、古い日本体質、権力に対して疑問を投げ掛けた記事を手掛ける。

かなざわけんた

最終更新:2021/03/30 07:00
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