俳優・長瀬智也の終焉…『俺の家の話』ラスト15秒に込められた2つの意味
#長瀬智也 #宮藤官九郎 #俺の家の話
TOKIO・長瀬智也主演のドラマ『俺の家の話』(TBS系)の最終回が3月26日に放送され、 放送終了1時間後もTwitterでトレンド1位に輝くなど大きな話題となり、有終の美を飾った。
要介護の親よりも先に、長瀬演じる寿一が亡くなってしまうという衝撃の展開で幕を閉じた 『俺の家の話』。ただ、それは悲劇ではなく、不器用で真っ直ぐな寿一が周りの人に与えてきた大きな愛がすべてを包み込む、温かな物語だった。
エンディング後、寿一は生前のスーパー世阿弥マシンの姿でリングサイドに現れる。しかし、 その姿は長州力にしか見えておらず、「寿がいる!」と騒ぎ立てる長州に周囲はどよめきく。 そのまま寿一と長州はリングに上がり、長州のラリアットをかわした寿一は、逆に長州にラリアットを決める。そして、自らのマスクの紐を緩め、脱いだマスクを天高く放り投げたのであった。
俳優・長瀬智也のラストに相応しいシーンだった。スタンディングオベーションをした視聴者も少なくないはずだ。大きな反響を呼んだラストシーンだったが、この演出にはどんな意味が込められていたのだろうか。
覆面レスラーにとって“マスクを脱ぐ”ことの意味とは
プロレスの世界では、「覆面レスラーがマスクを脱ぐ時は、そのキャラクターを引退する時」と言われることがある(引退しても何度でも戻ってくるのがプロレス界だが……)。一方で長瀬は『俺の家の話』をもって、芸能界の表舞台から引退する。
チーフプロデューサーの磯山晶氏は「辞めるから死ぬことにしたわけではなく、『俺のいない俺の家の話だ』というエピローグは長瀬さんの引退が発表される前から決まっていた」といったことをインタビューで語っていた。ただ、この最後にマスクを脱ぐシーンばかりは、長瀬の引退に重ねた演出のように思えてならないのだ。
マスクを脱ぐのは未来の私たちか
寿一がつけていたのは覆面レスラーとしてのマスクだったが、私たち視聴者にとってのマスクとは鼻と口を覆うものであり、厄介なウイルスの感染防止対策。このマスクを脱げるような平穏な日々が訪れてほしいという願いは、世界中のほとんどの人が持っていることであろう。
劇中で描かれた2022年は、家の外や密集した空間であろうとも、マスクをつけている人はいなかった。つまり、いま世界を騒がせているパンデミックが2022年には終息しているということだ。マスクをつけていないシーンも、投げられたマスクが宙を舞う光景も、この事態が終息することへの祈りのように感じる。「たマスクを外せる日々が来るように」。ラスト5秒のこのシーンには、そんな願いも込められていたのではないだろうか。
令和のドラマ史に残る作品となったであろう『俺の家の話』。視聴者はしばらく余韻に浸ることだろう。寿一の温かい愛、愛しき登場人物たち、そして長瀬のアツい演技は、これから先も人々の心に生き続けるはずだ。
■番組情報
金曜ドラマ『俺の家の話』
TBS系
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、桐谷健太、西田敏行、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村仁成(ジャニーズJr.)ほか
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未、佐藤敦司
音楽:河野伸
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/oreie_tbs/
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事