ポルノがセックスレスを助長している?──Pornhub動画削除で考えるポルノ視聴と男性性の劣化の関係(前編)
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現実でのセックスは「肉の世界」──ポルノで男らしくなくなる
同誌は欧米でも20代~30代前半の数十人、それも恋愛や性的関係を持ったことがない者から恋愛真っ最中の者、精力的な性生活を送っている者まで幅広く取材している。ここでもネットポルノの話題は何度も上ったものの「ポルノ消費と自身の性生活は、『完全に独立した別物』とみなしている人が多かった」とのことである。ある24歳の男性はメールで、こう語ったという。
「ネットのお陰で簡単に社会的、性的欲求を満たせるので、わざわざ『肉の世界』に出てまでこういうことを追求しようとは思わなくなっています。だからといって、ネットのほうがセックスや恋愛関係よりも満足感が高いかというと……それも違うんですよね。『もしネットがなかったら、自分はもっと外に出るか? もっとセックスしているだろうか?』と自分に訊ねてみるのは健康的だと思います。僕らの年代の多くは、多分イエスと答えるでしょう」
記事内ではこうした若者とポルノの関係について「単なるストレス解消や気分転換の手段でしかない」「SNSをしたり、テレビドラマをイッキ見するのと同じようなもの」と例えている。言い方こそカジュアルだが、前出の『男子劣化社会』ではこのように述べられてもいる。
「気晴らしは諸刃の剣だ。今、私たちの指の先にはかつてないほどの情報量があるが、それゆえに別の世界に完全に没頭してしまう危険性がある。この別の世界は、その多くが主張しているほどは必ずしも効率的ではない。それらはただ気を散らしているにすぎない」
現実で恋愛やセックスができない、もしくは億劫だという人のために、気晴らしの手段がより先鋭化し、多岐にわたっていく。その末に生み出されるのが、現代の日本を蝕む「性器を刺激するのに2人は必要ない」社会ともいえるのではないだろうか。(後編に続く)
(文/ゼロ次郎)
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