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日刊サイゾー トップ > 社会 > 政治・経済  > 千葉県知事選大敗で自民に走る衝撃

二階氏「別にショックは受けてない」強がりも…千葉県知事選大敗で、自民党を駆け巡る動揺…熊谷新党の可能性が浮上

消えた菅首相訪米後の解散 自民党千葉県連が恐れる熊谷新党誕生と維新との連携

 下村博文政調会長が3月18日、東京都内で行った講演で、菅首相の4月9日の訪米と日米首脳会談後の衆院解散と総選挙に踏み切る可能性があるとの見方を示したが、そんな声も今回の千葉知事選の惨敗でたちまちにして消えてしまった。

 来月4月25日投開票の衆院北海道2区、参院長野選挙区の両補欠選挙、参院広島選挙区の再選挙への影響を心配する声も上がっている。3選挙のうち、自民党は野党勢力が強い北海道で早々と候補の擁立見送りを決定し、長野でも厳しい戦いが予想されている。楽に勝てると言われた広島選挙区も、河合夫妻の買収事件の影響が尾を引き、状況次第では先が読めなくなってきた。

 そして、今回の千葉県知事選で最もダメージを受けた千葉県の自民党が今一番、選挙をやりたくないかと思いきや、どうもそうではないようだ。

 千葉県の自民党関係者は、「任期満了となる10月21日までには必ず総選挙がある。しかし、ぎりぎりまで延ばせば、熊谷知事が今回の大勝利の余勢を勝って、熊谷新党を作って、衆院選に候補を立ててくるかもしれない。逆に野党勢力の準備が整わない今、選挙をした方が良い」と、党中央の大勢とは真逆のことを言う。

 その背景には東京に続き、千葉にも足場を作りたい日本維新の会(維新)の思惑もあるようだ。維新は将来の連携、合流も視野に入れ、熊谷サイドに地域政党、「熊谷新党」を立ち上げるよう働きかけているのだという。

 熊谷氏は今回の知事選出馬に際し、立憲民主党県連だけでなく、千葉県における維新の県組織、千葉維新の会との間で、知事当選後の県政運営に関する政策協定を結んでいる。維新との間では、維新の目玉政策である、身を切る改革の一つ、知事報酬の削減で合意している。

 しかし、行政改革を旗印に、何かと公務員を敵視する維新と違い、熊谷氏は千葉市長時代から公務員との協調を大事にしてきた。2018年6月に行われた地方公務員向けのウェブマガジン「地方自治体を応援するメディア」でのインタビューでも、「組織の中で公務員と揉めることに何の意味もないし、公務員を悪者にする必要もない」と、その姿勢は維新とは一線を画す。「熊谷新党」が仮に誕生したとしても、体質的には維新とは水と油なので、部分的な政策協定程度で落ち着きそうだ。

 いずれにせよ、熊谷氏の勢いがこのまま続けば、10月までに確実に行われる衆議院選で自民党はかなりの苦戦を強いられる。戦々恐々しているのは来年の参議院選で改選を迎える千葉選出の自民党議員も同じだ。定数3議席のうち2議席を猪口邦子と元榮太一郎が分け合うが、次期参院選で2議席確保は今から困難視されている。千葉県自民党関係者は「二つ負けるわけにはいかないので、どちらかを切り捨てるしかない」と苦しい胸の内を明かした。

 現時点で、「熊谷新党」結成に向けての具体的な動きがあるわけではない。しかし、2016年の都知事選、翌17年の都議選で大勝した小池百合子がその勢いで「希望の党」を立ち上げた先例があるだけに、熊谷氏が新党を立ち上げる可能性も全くないわけでない。

「希望の党」は17年の総選挙で衆議院の単独過半数を超える候補者を立て、いきなり天下取りに走ったので自壊したが、「熊谷新党」が維新スタイルの地域政党を目指すならば、ある程度の勝算、実現性はあるかもしれない。自民党千葉県連にとり「これがいちばん恐れるシナリオだ」(千葉県自民党関係者)という。

会社員兼フリーランス・ジャーナリスト。政治、経済、社会ネタを気の向くままに執筆

みつけたろう

最終更新:2021/03/27 19:00
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