椎茸・ザ ・ボンバーの一点突破! “映え”だけじゃない極端かた焼きそばの滋味と享楽
#かた焼きそば #MARUOSA #椎茸 #華吉
シュプリームのコレクションに楽曲を提供し、海外の有名音楽フェスに出演するなど、国内外で評価されてきた“エクストリーム・ミュージシャン”のMARUOSA。他方で“かた焼きそば研究家”としての顔も持ち、近年は『新・日本男児と中居』(日本テレビ)や『たけしのニッポンのミカタ!』(テレビ東京系)といった地上波のテレビ番組にしばしば登場して注目を集めている。そんな彼が、驚愕の絶品・珍品に光を当てながら、かた焼きそばの奥深き哲学に迫る!
まだ帰るわけにはいかない。
前回 の目的地「ミッキー飯店」の店外で、満ちたお腹を労わりながら静かに気持ちを高めていた。なぜなら、中野坂上にはもう一軒、まだ見ぬ魅惑のかた焼きそばが潜んでいるのだから。
来た道をなぞるように中野坂上駅へ。先ほどとは打って変わって人通りの多い、まさに駅前ど真ん中。ランドマークであるサンブライトツインビルが堂々とそびえ立つ。入口付近にテナントである各飲食店の一覧が記載されたサイネージがなんとも大型ビルらしいのだが、まさにこの場所が今回の目的地である。
ここでふと、一抹の不安がよぎる。「人気店とは聞いているが、大型資本店でないにもかかわらず、賃料が高いであろう駅ビルで高クオリティを維持しつつ営業を続けるなんて可能なのだろうか?」と。
地下に下りると半円形に店舗が連なっていて、このいかにも商業施設らしい“のっぺり”かつ“ぼんやり”とした無機質な造りがMall Music Muzak『Mall Of 1974』を彷彿とさせる。
もちろん、料理の美味しさと店の外観は比例するとは限らないのだが、いわゆる「美味しそうな店構え」感がまったく感じられない。屋号は「華吉」。言わずもがな、外観からは何も想像できない。果たしてどうなのか。
店内に入って着席し、メニューを確認。
かた焼きそばだけでも10種類の取り揃えは、これまで最多かもしれない。「搾菜肉絲炸麺(ザーサイかたやき)」や「韮菜炸麺(ニラかたやき)」も捨てがたいが、今回は「香菇炸麺(椎茸かたやき)」をオーダー。
椎茸がすべてを統率する
どこからどう見ても、まごうことなき椎茸かたやきである。Mr. Dynamite Shiitake the bomber。これぞ一点突破。
椎茸嫌いにはただの地獄絵図でしかないが、ここ「華吉」は町中華好き、特に椎茸好きがこぞって集まる聖地だそうだ。看板メニューである「香菇麺(椎茸うま煮そば)」のほか、「香菇会飯(椎茸あんかけご飯)」という珍しい料理もある。
ちなみに、椎茸には傘の開き方によって3種類の呼び方があり、開きが少ないものから「冬菇(どんこ)」「香菇(こうこ)」「香信(こうしん)」と分かれている。その中でも「香菇(こうこ)」は見栄えと食べごたえの両方を兼ね備えているオールマイティーな椎茸だそうだ。
ほかの具材はチンゲンサイ、たけのこ、豚肉のみのシンプル構成。ライトに揚げた中細麺に、とろみ弱めのオイスターベース薄味あんかけ。一見、椎茸の “映え”のみで構成された極端なフォーメーションである。しかし、頼りなさげに思える最小限の具材も、ライトな揚げ麺も、薄味のあんかけも、すべて計算のうち。絶対的エースである香菇椎茸の滋味深きうま味と享楽的な食感が全体を統率し、螺旋の高みにのぼっていくのだ。
あぁ椎茸よ、あなたがこれほどまでに偉大な食材だったとは知らなかった。シンプルにして至高、ジョルジオ・モロダー「UtopiaMe Giorgio)」が脳内で駆けめぐる快感フレーバー。
本日2食目&親知らず治療中にもかかわらず、優しさに抱かれるように完食。
余談だが、「天皇の料理番」で知られる秋山徳蔵氏のエッセイによれば、椎茸は性欲を減退させる食材だそうだ。賢者モードになりたいときは必食かもしれない。
〈INFO〉
・華吉
住所:東京都中野区本町2-46-1 サンブライトツインB1営業時間:[月~金]11:00~22:30(L.O.22:00)[土・祝]11:00~21:30(L.O.21:00)
定休日:日曜・祝日
●プロフィール
MARUOSA(マルオサ)
1980年、大阪生まれ、東京在住。エクストリーム・ミュージシャンとして、これまでに20カ国以上でライブを行い、世界3大メディア・アート・フェスのひとつ「ソナー」(スペイン)、約28万人も訪れる欧州最大級の「ロスキレ・フェススティバル」(デンマーク)、世界最大の音楽見本市「SXSW」(アメリカ)などに出演。かた焼きそば研究家としてテレビ・ラジオ出演やコラム執筆といった活動も行う。
Twitter:@maruosa Instagram:maruosa
maruosa.com
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