『報ステ』ウェブCM炎上で取り下げも 謝罪はなし? 19年にもセクハラ問題、差別意識が残る現れか…
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平日夜のニュースといえば『報道ステーション』(テレビ朝日系)を見ている人もまだ、多いだろう。
3月22日に同番組がYouTubeなどで公開したウェブCMが、世間から非難の的になっている。問題はその設定とセリフだ。
仕事帰りの女性がカメラ(誰か)に向かって畳かけるように、その日の出来事を話した挙句、《あ、9時54分! ちょっとニュース見ていい?》と言ったあとに「こいつ報ステみてるな」という“上から目線”テロップで締めくくられる。
セリフの一部には《どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ》と揶揄した表現があり、「時代遅れどころか、まだ浸透もしていない」「おしゃべりな女とそれを聞いてやっている男みたいな設定がすでに時代遅れ」など、世間とのズレが露になり批判が殺到した。
これには同番組の公式ツイッターで「今回のWebCMは、幅広い世代の皆様に番組を身近に感じていただきたいという意図で制作しました。ジェンダーの問題については、世界的に見ても立ち遅れが指摘される中、議論を超えて実践していく時代にあるという考えをお伝えしようとしたものでしたが、その意図をきちんとお伝えすることができませんでした。不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、お詫びするとともに、このWebCMは取り下げさせていただきます」と謝罪した。
上記の謝罪文を出した3月24日の放送回では、スタジオから特に謝罪の言葉はなく、ネット上では「スルーかよ」「謝罪はないのか」などの辛辣な言葉が並び、関心度の高さが伺えた。
2004年から放送が始まり、政権批判も辞さないそのリベラルな内容と報道姿勢でテレ朝の看板番組へと成長してきたが、2019年には番組制作側の男性社員の女性スタッフやアナウンサーに対するセクハラ問題が明るみになり、イメージは悪化した。
「あの事件から再発防止に取り組み、テレビ局内で見られる悪しき慣習を見直すのに尽力してきたはずです。サブキャスターとして据えていた女性アナウンサーも、今では男女でメインキャスターにするなど、改革もしてきた。取材力や絶対的な『報ステ』ブランドは、局内でも花形の報道番組として今も期待は高く、今回も若い人にも寄り添いたいから、わざわざCMを作ってウェブで公開したんでしょう。優秀なスタッフたちからしたら、ジェンダーレス意識の高い若者に“当たり前すぎるよね”と投げかけたかっただけなのでは」(テレ朝関係者)
本気でスローガンを掲げ、活動している人たちが声をあげにくくなるようなセリフはまずかった。しかし、スローガンを掲げるまでもない、ダイバーシティな世の中になることを確かに世の中も願っている。
また、初代キャスターの古舘伊知郎が5年前の同番組降板時に、こんな言葉を残している。
「普通の言葉でざっくばらんなニュース番組を作りたいと、真剣に思ってきたんです。ところが現実はそんなに甘くなかった。放送する側としても誰かを傷つけちゃいけないと、二重三重の言葉の損害保険をかけなければいけない。そういうことをガチッと固めてニュースをやらなければならない」
今年に入りジェンダー問題に対するニュースが目立ってきた中、現場で真摯に取材をしていた人や番組制作を担ってきた人たちにとっては、水を差された形になったようだ。
一刻も早い、名誉挽回が必要になってきそうだ。
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