日本人の人権意識は向上している? 法務省が20年の「人権侵犯事件の状況」を発表
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法務省は3月19日、20年の「人権侵犯事件の状況」を発表した。新規に救済手続を開始した人権侵犯事件は9589件、処理した人権侵犯事件の数は1万2件だった。
新規の救済手続きを開始した人権侵犯事件は、前年から5831件減少した。直近のピークである12年の2万2930件から58%も減少している。処理した人権侵犯事件数は前年から5402件減少し、こちらも直近のピークである12年の2万2694件から56%も減少している。
人権侵犯事件の処理では、法律上の助言を行ったり、関係行政機関や関係ある公私の団体等を紹介したりする「援助」、被害の救済または予防について実効的な対応ができる者に対し必要な措置を執るよう求める「要請」、相手方の反省を促し善処を求めるため事理を説き示す「説示」などがある。
20年の処理では「援助」が8149件と全処理件数の81.5%を占め、次いで「要請」が641件と6.4%となっている。新規に救済手続きを開始した人権侵犯事件のうち、重大な人権侵犯事件である「特別事件」は1445件で前年から153件減少した。
人権侵犯事件の類型は、「プライバシー関係」「暴行・虐待関係」「労働権関係」「学校におけるいじめ関係」「住居・生活の安全関係」「強制・強要関係」「差別待遇関係」「教育職員関係」に分類されている。
新規救済手続きを開始したもので、最も件数が多かったのはプライバシー関係の1741件で、全事件数の18.2%を占めた。ただし、件数は前年の2197件から456件(20.8%)減少した。このうち、インターネットによる事案の割合は1358件と78.0%を占めた。
次いで、暴行・虐待関係が1578件で全事件数の16.5%を占めたが、前年比で720件(31.3%)減少した。このうち、児童虐待事案は341件で21.6%を占めた。労働権関係は1313件で13.7%を占めたが、前年比では523件(28.5%)減少した。このうちパワー・ハラスメント関係の割合が851件(64.8%)を占めた。
学校におけるいじめ関係は1126件で11.7%を占めたが、前年比では1818件(61.8%)も減少した。住居・生活の安全関係は1017件で10.6%を占めたが、前年比で811件(44.4%)減少した。このうち、近所の騒音等から生じる事案の割合が551件(54.2%)を占めた。
強制・強要関係は1013件で10.6%を占めた。前年比では634件(38.5%)した。セクシュアル・ハラスメント関係の割合は256件(25.3%)を占めた。教育職員関係は435件で4.5%を占め、前年比で548件(55.7%)減少した。このうち、体罰が83件(19.1%)を占めた。
前年比で唯一増加したのが差別待遇関係で、前年比33件(5.2%)増加し、669件と全体の7.0%を占めた。内訳では、部落差別(同和問題)に関係が244件、障害者関係が125件、外国人関係が60件、疾病患者関係が44件、高齢者関係が24件となった。このほか、性的指向関係が3件、性自認の関係が12件となっている。
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