『青天を衝け』篤姫の「お世継ぎを産んでみせる!」宣言から紐解く江戸時代の“性教育”マニュアル”
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老女が「枕絵」を使って性教育する?
対極として思い出されるのが、「玄人女性」の代表例である吉原の高級遊女たちですね。彼女たちの男性へのアプローチは、大名家の姫君とは真逆です。布団に入るまでは、冷淡といってもよい扱いで男性に接する一方、交わりが始まると、とつぜん情熱的に悶えはじめるというギャップで攻めるのが吉原の遊女たちでした。これが「玄人っぽさ」の極地だとすると、大名家のお姫様などは「素人っぽさ」の極地を演じるよう、心身に叩き込まれるのでしょう。
しかし、内容があまりに具体的すぎるし、政略結婚で結ばれただけの、高い身分の男女のいとなみにしては生々しすぎるという理由で、『閨のお慎みのこと』には偽書説もあります。つまり、本当の性教育テキストというより、「後世のスキモノが書いただけ」という説もあるわけです。
これについては、徳川慶喜の孫にあたる蜂須賀年子(はちすか・としこ)という1896年生まれの「お姫様」も、いわゆる「枕絵」を使った性教育について言及しているのですよ。しかも、家に仕える「老女(=身分の高い女中)」から、蜂須賀年子いわく「一ヶ月の間、たっぷり房中秘事のヤリ方を上手に教わりました」(『聞き書き 徳川慶喜残照』)そうで。
これらから、『閨~』も内容が問題で「偽書」と考えることはできないというのが筆者の見解です。ただ、こういうお姫様への性教育は、「老女(=生涯処女の女性が中心)」ではなく、「乳母(=既婚者)」がするものだったという指摘もあり、蜂須賀年子の“記憶違い”、もしくはサービス精神からの“演出”が入っていることも否めませんが。
蜂須賀年子のいう「房中秘事のヤリ方(原文ママ)」は、文章化されたテキストではなく、口頭で伝えられたと想像できます。資料が存在していなくても、江戸時代の大名家の姫君……たとえば、島津家から徳川家定に嫁いだ篤姫なども、その手の教育は受けたのであろうなぁ……ということが推察されるのでした。
史実では家定は篤姫に冷淡だったので、篤姫は性教育の成果を活かすことも難しかったかもしれません。しかし、『閨~』に書いてあるような交わりを続けられていたところで、「お前はお飾りの妻で、実子を持とうと思ってはいけない」という使命があるとなれば、逆に篤姫にとっては酷かったと言える気もします。
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