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草彅剛の受賞でようやく“デキレース体質”を脱却した『日本アカデミー賞』

[入稿済]草彅剛の受賞でようやくデキレース体質を脱却した『日本アカデミー賞』の画像1
映画『ミッドナイトスワン』ツイッターより

「第44回日本アカデミー賞」の授賞式が19日、都内で行われ、主要部門のうち草彅剛主演の『ミッドナイトスワン』(内田英治監督)が、最優秀主演男優賞と最優秀監督賞の2冠を受賞した。

「同作の配給はキノフィルムズで、公開スクリーンもそれほど規模が大きくはなかった。にもかかわらず、リピーター続出で、難役であるトランスジェンダーの主人公を演じた草彅に対する称賛の声が続出。2冠の受賞も納得です」(映画業界関係者)

 同賞といえば、昨年は『新聞記者』が、最優秀作品賞のほか、松坂桃李が最優秀主演男優賞、シム・ウンギョンが最優秀主演女優賞を受賞。主要部門で3冠を達成した。

「配給は独立系の映画会社・スターサンズとイオンシネマを運営するイオングループの映画興行会社・イオンエンターテイメント、独立系の配給作品の受賞は06年度の『フラガール』以来13年ぶりとなる。北野武監督がかつて『日本アカデミー賞』はデキレースと指摘したが、今回の受賞作を見るに脱却したように思われる」(同)

 歯に衣着せぬ物言いで知られ北野監督だが、14年10月に行われたトークショーで「日本映画の最悪な点は、映画製作会社が映画館も経営していることだ」と切り出した。

 そして、「自分の作品は米アカデミー賞(の外国語作品賞の候補)に推薦されたことがない。ここで言うのもイライラするけど、日本アカデミー賞の最優秀賞は東宝、東映、松竹、たまに日活の持ち回り。アカデミー賞会員が選んだ、というけど、(会員は)どこにいるの?」と、“デキレース体質”であることを指摘したのだ。

 また、この発言を受け、翌年1月、当時の日本アカデミー賞協会会長・東映会長で昨年亡くなった岡田裕介氏が北野監督に「持ち回りというのはありえない」などと反論し、話題となった。

「『日本アカデミー賞』の公式ホームページによると、昨年の時点での投票権がある会員のうち東宝が296人、松竹が293人、東映が273人、KADOKAWAが135人、日活が53人と、5社のみで計1050名。総会員数3953人の約3分の1近くを占めるが、その会員たちも積極的に自社の作品に投票するのではなく、純粋にいい作品に投票するようになったのでは」(映画担当記者)

 ただ、「今回がたまたま」(映画メディア編集者)という声も聞かれるが、多くの作品に受賞のチャンスが広がったのであれば、喜ばしいことだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2021/05/25 19:07
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