宮下かな子と観るキネマのスタアたち第8話
「愛する人が亡くなっても、手を止めてはいられない」99歳の新藤兼人監督が日本人に残した『一枚のハガキ』
2021/03/22 18:30
#映画 #俳優 #キネマ旬報
心に残る美しいラストシ―ン、問いかけてるメッセージは?
感情をこれでもかとぶつけ合った松山と友子は、共に新しい道へと歩んでいきます。しかしそれは、愛とか恋とか、今の私たちが考えるものとは少しばかり異なる形。傍に、明日への希望となる人がいるから。いや、傍にその人しかいないから、共に歩む、というような。
そんな2人が、黄金に輝く麦畑を前にご飯を食べるラストは、心に残る名シーン。今後、力強く前を向いて歩んでいくであろう2人の生命力がみなぎっていて、未来の希望が感じられる、とても美しい画なんです。
戦時中、世の不条理さに失望している人々を、戦争体験者である新藤監督だからこその切り口で、時に滑稽に、温かみを持って描かれた作品です。
不幸な境遇に心沈めるのではなく、笑いに変えていかなければ何も始まらない、という映画全体のメッセージは、この時代を生きた人だからこその説得力があります。世の中が大きく変動している今、未来への不安を抱えながら生きる私たちに、とても大切なことを語りかけて下さっているように思います。
個性豊かな豪華役者陣、そして当時99歳の新藤監督が最後に残したこのエネルギッシュなパワーを、是非作品から受け取ってください!
最終更新:2023/02/22 11:39
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