中国オーディション番組で奮闘する日本人たち──ビジュアルと実力さえあれば言葉の壁を超えられるのか?(後編)
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デビューは最善の選択か? 日本人練習生のための生存戦略
オーディション番組発のアイドルユニットには懸念点もあります。前述したように実力と人気のバランス問題はもちろんのこと、デビュー後の継続的な育成が保証されていないという点も見逃せません。
中国のアイドルビジネスは一言でいうと、人気をできるだけはやく「变现(キャッシュに変える)」 モデルになっています。オーディション番組で形成されたユニットは約2年間という期間限定で活動することが多いです。多くの事務所にとって、人気があるうちに初期投資分を回収しておきたいため、デビュー後のスケジュールはすぐに商品のアピール、イベント出演など商業活動で埋められます。これでは練習や創作の時間がなかなか確保できず、新規の楽曲もろくに出せない状況が続き、ファンから不満が噴出するというのはよくある話です。
中国オーディション番組発の、初めての男性アイドルユニット 「NINE PERCENT」や女性アイドルユニット「Rocket Girls 101」のデビュー2年後の状況は、その典型的なパターンです。 なので、もし一時のブームで終わらせずに、しっかりと実力を身につけてアイドルとして長い年数を見越した活動をしていきたいのであれば、番組を通してデビューするのは必ずしも最善の選択肢ではないのかもしれません。
約2年間という期間限定の縛りがある活動ですから、得られるものもあれば、失うものもあると思いますので、自分にとって重要なのは何かを考えた上でチャレンジしたほうがいいでしょう。
私が個人的に考えたアイドルの生存戦略は、オーディション番組内で後半まで残留しつつも最終的に番組発のアイドルとしてはデビューしないというシナリオです。まず、番組での露出をできるだけ利用して知名度やファンを増やします。そして、番組離脱後もファンとのつながりを維持しつつ、ボーカルやダンスなど自分の実力を伸ばし、信頼のある事務所からCDデビューといった形で活動するのが一番理想的ではないかと考えています。
そうすることで運営の都合で振り回されずに、最大限自分の意思を通して自分らしさ、自分がやりたい音楽や舞台をファンに届けることができるのではないかと思います。つまり、オーディション番組をうまく利用すべし! ということですね。
日中両国の文化に馴染みが深い私にとっては、創造営はただの娯楽番組ではありません。日中の間では殺伐しているトピックがたくさんあり、新聞やニュースを見るとどうしても目に留まってしまいます。けれど番組内での練習生同士一人ひとりが真摯に向き合い、国籍関係なく助け合う姿を見ていると癒されましたし、何よりも日本語を勉強した頃の初心に戻った気分になれました。
番組や、この記事を通して、日中両国間が少しでも理解が深まると幸いです。
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