元芸人が「R-1グランプリ2021」全ネタ徹底分析! 圧倒的だった進化を続ける天才芸人「ゆりやんゆりやんレトリィバァ」の生き様
#お笑い #芸人 #ゆりやんレトリィバァ
現在、お笑い芸人の頂点を決める大会は、ネット番組やライブも含めると数多く存在している。
その中でも、テレビで放送され、ベテラン芸人が審査員を務め、普段お笑いに興味のない人でも知っている有名な大会は、漫才の王者を決めるM-1グランプリ。コントのチャンピオンを決めるキングオブコント、女性の芸人限定のTHE W。そして最後に、ピン芸人のナンバーワンを決定するR-1グランプリである。
今年も3月7日に「U-NEXT R-1グランプリ2021」(フジテレビ系列)が放送され、ゆりやんレトリィバァの優勝で幕を閉じた。
M-1グランプリ2020のコラムで書かせて頂いたように、今回も決勝進出者を一人ずつ元芸人目線で分析していく……のだが今回、正直初見の芸人も多かった為、事前情報をほとんど把握していない。彼らの経歴、普段の芸風、大会へ挑む思いなど、一切知らない状態で鑑賞させて頂いた。よってここで述べることは純粋に今大会だけの分析であることをご理解いただきたい。
それでは早速分析していく事にしよう。
トップバッターは敗者復活ステージで1位を勝ちとった「マツモトクラブ」。
彼はR-1グランプリの常連と言っても過言ではない。現に2015年から2019年まで5年連続で出場し、昨年は惜しくも準決勝で敗退してしまったが、今年は見事に敗者復活1位で勝ち上がってきたので計6回も参加していることになる。
ネタのスタイルは一貫して変わらず、心理描写のナレーションと第三者との会話劇を中心とした芝居のようなコントを披露している。
今年のネタはおじさんが夜中に公園で片思いの女性との恋愛を妄想していたら、警察に職務質問され、何故か女性とのシミュレーションのように警察との会話が進んでいくというもの。
率直に言うと、笑いのネタというよりも芝居の延長上のような空気感が強く、あの制限時間では笑う体制が整わなかった。
もちろん観客は笑っていたし、話の展開や描写は上手い。しかし見終わった後は「面白かった」ではなく「上手かった」という感想が一番強く浮かんでしまう。原因は彼の芸人の枠を超えた芝居の巧みさである。まるでそこに、本当に悲しい人生を背負ったおじさんが存在しているように見えてしまうのだ。
だったら下手な芝居をすればいいのか? そんな単純なものではない。
コントに演技力は不可欠だ。ただ、上手いだけでは足りず、そこに通常よりも若干大げさなリアクションをしたり、ありえない表情やセリフの言い回しを付け加えることで、フィクションとノンフィクションの間の空間を作り出す。
彼の芝居力に芸人ならではの空間が備われば芝居の延長上ではなく、演技力が抜群の芸人として一皮むける気がする。
残念なことにマツモトクラブさんは今年芸歴10年目となり、最後の挑戦であった。
また別の機会に、より一層磨きのかかったネタを見せてくれることを期待している。
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