元芸人が「R-1グランプリ2021」全ネタ徹底分析! 圧倒的だった進化を続ける天才芸人「ゆりやんゆりやんレトリィバァ」の生き様
#お笑い #芸人 #ゆりやんレトリィバァ
ZAZYが優勝逃した原因は、同じネタ構成が続いためか
2番手は全身ピンクの衣装を身に纏い(ファイナルステージでは白い衣装だったが)、髪の毛までピンク色の長髪という奇抜な恰好をした「ZAZY(ザジー)」。
過去にネタを見たことはあったが、正直なところ記憶に残ってはいなかった。
インパクトのある絵でボケたり、それに対してツッコミをするというフリップ芸。春夏秋冬を表す為四面のフリップを使っていた。基本的には「なんそれ!」というツッコミを中心としネタが進行していく。
見た目の奇抜さからどんなネタなのかと構えてしまったが、ネタはフリップを使い、基本的には絵が描かれており、絵自体でボケたり、ツッコミで笑わせたりするもので、見た目とは裏腹に意外としっかり構成されていた。
後半では、絵でボケ、ツッコミ、さらにそのツッコミのフリップも実はボケになっており、それに対してさらに絵でツッコミを入れ、さらにその絵にツッコミを入れ、というループで畳み掛ける展開に会場の笑い声も大きくなっていった。そして終いには、四面全てのフリップに描かれた絵がひとつのリズムになり歌いだすという、王道と邪道が混在し、そこに奇抜さも加わり、言葉では表現しづらいが、とにかく面白かった。
惜しくも優勝を逃したのは、ファーストステージとファイナルステージのネタの構成がほぼ一緒だったからではないだろうか。もう少しネタに変化をつけ、同じようなクオリティで違いが見せられていれば優勝のチャンスがあったかもしれない。
ZAZYさんに限らず、連続でネタを披露する大会ではそれが一番難しいのだが。
3番手は「土屋」という方。
4年連続で1回戦敗退し、5年目でいきなり決勝進出。前者の二人とは違い、まったく情報がなく、年齢もネタの雰囲気も全くわからない状態で見始めた。
ネタはひとりコント。フリップ芸が目立つ中、ひとりコントというだけで興味が沸く。
内容は自転車競技をしている人の心情を話していくうちに、だんだん喋り方が田原俊彦さんになっていってしまい、その喋り方が恥ずかしいからゴールしたくない、田原俊彦さんのおかげで足の痛みが無くなってきたなど、ひとつのボケの枝葉を広げていく。
厳しい言い方になってしまうが、芯のあるネタには見えなかった。
惹きになるほど上手いモノマネでもなく、笑いになるような下手なモノマネでもなかった。なぜ田原俊彦さんをボケの中心に置いたのだろう。
さらには声の大きさも足りず、活舌も良くない。それが笑いになれば問題ないが、逆に気になって集中できなくなるレベルだ。
少なくとも芸歴は5年以上ある。見た目や活舌、音量などを客観視し、武器になりそうな素材をもっと活かせるネタを作れたと思うが、ネタ自体の面白さに固執してしまったのだろうか。
決勝進出したということは、運も実力も兼ね備えているはず。誰がやっても面白いネタではなく、自身の特性を活かし、自分にしか出来ないネタを見たいと思った。
4番手はこちらも事前情報ゼロの「森本サイダー」。
彼はM-1グランプリで一躍その名を広めた「オズワルド」の伊藤さんを含む若手芸人3名とルームシェアをしているらしい。
こんな薄い情報はさておき、ネタ自体はとても良かった。
自身のキャラを活かしたヲタクのコントと見せかけて、コント中にお客さんが気になったであろうことをフリップで追及していき、最終的に「ちゃんとコント見て~」という2019年のおいでやすさんを彷彿とさせる駄々をこねた。
作りこまれたネタやキャラクター、声の張り方や声量などはすべて良かったと思うが、思ったほど笑いが起こらなかった。このネタは3部構成になっていて、その順番が違ったのではないかと僕は考察する。
1ブロック目はキャラ説明のショートコント。いわば自己紹介である。
2ブロック目はフリップを使って観客が考えたであろうことを回収していく。
3ブロック目は駄々こねながら自身の胸の内を吐露していくというもの。
この3つならその順番は致し方ないことなのだが、明らかなる笑いのピークは2ブロック目だった。真ん中で笑いのピークを迎えるという事はつまり尻すぼみしたということだ。
2ブロック目と3ブロック目を入れ替えて辻褄が合うようにすればピークを最後に迎える事になりけ決勝進出もあり得たかもしれない。
もしくは胸の内を吐露するセリフの「嫌いにならないで」や「SNSで褒めて」が観客の想像を超えていくものだったら違ったかもしれない。例えば「僕のパパは社長なんだよ」とか「シャンプーボタニスト使ってるのに」等、関係の無い具体的なワードを盛り込むのはひとつの方法だったと思う。
今後に期待したいと感じた。
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