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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 失敗ジャンプを永遠にツッコまれる原田雅彦

『チコちゃんに叱られる!』リレハンメル五輪の失敗ジャンプを永遠にツッコまれる原田雅彦

長野オリンピックから約20年後、あの原田にK点を語ってもらう

 この日2つ目のテーマは「スキージャンプのK点ってなに?」という疑問である。筆者は「危険(KIKEN)の頭文字のK」と聞いたことがあるが、日本語が語源になっている時点でおかしいし、この説はきっとジョークだろう。昔からスポーツ中継ではアナウンサーが「K点越え!」と連呼しているものの、K点についての解説は聞いたことがなかった。チコちゃんが発表した答えは「昔は『極限点』だったけど今は『建築基準点』になりました」である。

 詳しく教えてくれるのは、長野オリンピック・スキージャンプ団体金メダリストであり、現在は全日本スキー連盟理事の原田雅彦さんだ。久しぶりに見た!

――原田さんといえばK点っていうイメージがあるんですけど。
原田 「あの、私、本当にK点に……まあ、思いがあるんですけどね」

 K点とは、ジャンプ台の踏み切り台から斜面の約120m先のポイントを指すそうだ。スキージャンプはジャンプ台の大きさによって種目が分かれており、ラージヒルの場合は踏切台から120m先をK点と呼んでいる。

 K点を有名にしたのは、1994年に行われたリレハンメルオリンピックだ。1人目の西方選手がK点を大きく越える135mの大ジャンプをし、続く岡部選手も133mの大ジャンプをした。3人目の葛西選手の飛距離は120mで、日の丸飛行隊はK点越えを連発! 日本は2位のドイツを大きく引き離し、最後の原田さんが105mさえ越えれば金メダルという状況だった。

「なにも考えられなかったというか、とにかく冷静でいられなかったんだと思います。今、思えば」(原田)

 前年の世界選手権を優勝し、名実ともに日本のエースだった原田さん。普段であれば120mのK点越えは珍しくなかった。彼がジャンプした際の実況が生々しい。

「高い! 来るか!? うわ~、途中で落ちたか! 失敗したジャンプ。しかし、どうか? 距離は? 97m50。日本、銀メダル!」

「まあ、頭が真っ白になったですね。チームメイトがね、励ましの声をかけてくれたんで立ち直ることができましたけども、ものすごい辛かったですね」(原田)

 正直、もうやめてあげてほしい。このときの失敗ジャンプについてまだイジる『チコちゃん』。原田さんは一生言われ続ける運命なのか? 普通だったらこんなの立ち直れないだろう……。

 しかし、トラウマを払拭するかのように4年後の長野オリンピックで彼はリベンジした。このときの実況は、もはや快哉の雄たけびである。

「K点以上飛べばトップに出てくる。今度は高いか! 高い! 高くて! 高くて! 高くて! 高くて! 行ったー! 大ジャンプだ、原田~!」

 K点を大きく越える137mの大ジャンプでチームの優勝に貢献し、見事金メダルに輝いた原田さん。まあ、彼はリベンジできたものの、リレハンメルの他のチームメイトはそうは行かなかったわけだが……。

 元々、K点はドイツ語のKritischer Punkt(クリティッシャー・プンクト)の略である。「これ以上飛ぶと危険な『極限点』」という意味だ。K点越えは、危険を伴うほどの大ジャンプという意味。ジャンプ台はK点を境に斜面が緩やかに設計されているため、K点を越えると着地が難しくなり、大きな転倒につながる危険性があった。

 原田さんらが金メダルを獲得した長野オリンピック(ラージヒル)ジャンプ台・スタート地点からの景色を見ると、そこは想像以上の高さである。それもそのはず、実はこの高さは東京タワーのメインデッキとほぼ同じ138mなのだ。つまり、長野オリンピックでの原田さんの137m大ジャンプは、東京タワーのメインデキッキから勢いよく滑り落ち、上空86mの地点でジャンプし、そこから時速100km以上のスピードで東京の街を滑空し、勢いそのままに地面にドカンと着地するのと一緒ということだ。人が命綱を付けず、東京タワーからおよそ200mの距離を猛スピードで落ちていくという異常事態。そんなの怖すぎる。スキーで滑って飛ぶなんて発想そのものが、やっぱりどうかしているのでは? とんでもない競技だ。

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