上白石萌音主演『ボス恋』が描いた「普通って何?」の答えとは… 視聴率健闘も同枠トップ5には届かず
#上白石萌音 #火曜ドラマ #オー! マイ・ボス! 恋は別冊で #ボス恋
「普通とは移り変わっていくもの」それが『ボス恋』が出した答えだった。
3月17日に、上白石萌音主演『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』(TBS系)の最終話が放送された。世帯平均視聴率は13.2%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)とラスト10話目に数字を伸ばしたが、歴代火曜ドラマ枠のトップ5には届かなかった。
『ボス恋』が最終回まで残していた“宿題”は大きく2つあった。1つ目はドラマが初回から掲げていた「『普通』って何?」というテーマへの答え。2つ目は家業を継ぐために、好きなカメラマンの仕事も奈未(上白石萌音)との恋も諦めざるをえなかった不憫すぎる潤之介(玉森裕太)の処遇だ。
初回に問題提起してから、あまり話題に上ってこなかった「普通」というテーマ。これは、上京前の奈未とその母親(宮崎美子)の理想像のようなもので、安定した仕事でほどほどに働いて結婚する「普通で人並みの生活」を手にいれることこそが幸せとする考え方だった。しかし、はじめは昼夜なく呼び出しのかかるファッション雑誌編集部の仕事を「普通じゃない、もってのほかだ」と思っていた奈未は変わった。潤之介と別れ、これからは仕事を通して普通で人並みの安定した生活送るとつぶやく奈未に、母親はこう励ました。「ずっと普通が一番って思ってきたけど、最近思うんよね。奈未がどの道を進もうと、誰と一緒になろうと、奈未自身がその場所でしっかり生活してればそれが奈未の普通になるとじゃなかかね」
「普通」というものさしの測り方は、人によっておどろくほど違う。奈未がそれまで思っていた普通は、ファッション雑誌編集部で働くようになってからの毎日とはまったく別物だったが、いつの間にかその生活こそが奈未の「普通」で、「夢」に変わっていた。知らなかった世界を知ったことで、アップデートされた奈未の「普通」。それを母親は「奈未がどんな道を選んでも、ずっと奈未の味方」と受け止める。何が普通で正しいと決めつけるのではない。おそらくこのセリフが、『ボス恋』が掲げた「普通」というテーマに対する答えだった。
一方、潤之介もアシスタントの尾芦(亜生)のフォローと奈未の後押しによりカメラマンを続けていくことを決意する。麗子(菜々緒)から父親への口添えもあり、長い間の確執となっていた後継ぎ問題はあっさりと円満解決するのだが、こちらはやや拍子抜け感が否めなかった。ストーリーとしては最終話に詰め込みすぎたのか、ほかにも麻美(高橋メアリージュン)が念願だった麗子の後任編集長というポジションを「力不足だった」と一瞬で辞任してしまうなど、終わりに向けて駆け足で少し強引な幕引きとなってしまった。
それでも、尾芦役・亜生の相方であるミキの昴生がラーメン屋の店員に扮す『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)でもあった兄弟演出の再現もあるなど、火曜ドラマファンへのサービスもしっかり盛り込んで完結した『ボス恋』。単なる胸キュンラブコメディとして見ていた視聴者が多いなか、意外と難しくてやっかいな「普通」というテーマを無理なく貫けたことだけでも評価はできるだろう。
■番組情報
火曜ドラマ『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉ほか
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデュース:松本明子
音楽:木村秀彬
主題歌:Kis-My-Ft2 「Luv Bias」(avex trax)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/BOSSKOI_tbs/
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