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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 菅義偉長男違法接待疑惑で首相辞任も?

菅義偉長男、総務官僚への違法接待疑惑はNTT代表へ――残すは首相辞任のみか

今週も菅首相関連、側近がNTTから超高額接待…12万円のシャトー・マルゴーほか

 そして今週も文春の独走スクープが第1位である。

 今週は、菅首相の目玉である「携帯電話料金値下げ」の本丸、NTTが菅の懐刀・谷脇総務審議官を超高額な料理と酒で接待していたと詳細に報じたのである。

 文春の総務官僚たちの「利害関係者」からの違法接待疑惑問題は、ついにNTTにまで広がった。

 菅首相が抜擢した山田真貴子内閣報道官は、菅の長男・正剛ら東北新社幹部から一晩7万円超の接待を受けていたことが、文春で報じられた。

 山田は国会に呼ばれ接待された事実を認めたが、菅は辞めさせなかった。だが世論が厳しいと分かると一転、辞任させ、メディアから隔離するために入院させてしまった。

 もし、山田が居座っていたとしても、今週の文春報道で辞任せざるを得なくなっただろう。

東北新社から超高額接待を受けた半年後の昨年6月4日の夜、今度はNTT代表取締役社長・澤田純の接待を受けていたのである。

 文春によれば、NTTの迎賓館と呼ばれるレストランが、東京港区・麻布十番にあるという。グループの中核企業が年会費を払い、会員会社が利用する際には4割引きになるというが、それでも高額であることに変わりはない。

 その中でも最上級の個室は「ピオニー(芍薬)」という。その日は澤田社長と経営企画部門を統括する執行役員、それに山田と、2年後輩の巻口英司総務省国際戦略局長の4人。

 私は下衆な人間だから、どんなものを食い、何を飲んだかに興味がある。

 乾杯は1本3万8000円のドン・ペリニヨン。コースはキャビアや黒アワビを盛った「スペシャルコース」。1人2万4000円。魚料理にあわせた白ワインは1本3万6000円のコルトン・シャルルマーニュ。メインの肉料理には出ました! 1本12万円のシャトー・マルゴー。「ボルドーの宝石」とも「失楽園ワイン」ともいわれる。

 総額は4人で33万円。ここから4割引きにはなるが、総額は約20万円。「山田と巻口が置いていったのは、一人一万円の現金だったという」(文春)。1万円でマルゴーが飲めるなら毎日でもいい。私はシャトー・ラトゥールでもいいがね。

 この1か月後の7月3日、NTTデータの岩本敏男前社長が同じ個室で接待したのは、菅の看板政策「携帯値下げ」のキーマンで側近の谷脇康彦総務審議官と、金杉憲治外務審議官だった。

 こちらは1人1万6000円の「ヘルシー・コース」で、栃木産の和牛に合わせて出されたのが1本3万4000円のキスラーのピノ・ノワール、「酔鯨」の最高級大吟醸「DAITO」でこれは1本4万8000円だ。「十四代」の大吟醸は四合瓶で3万円ぐらいだから、これよりは安いか。ずいぶん「十四代」を飲んでいないな。

 帰りに谷脇と金杉は会費と称して5000円ずつ支払い、「領収書」をもらっていった。

 これを書き写していて、文春の取材力はつくづくすごいと思う。食事の内容から出されたワインや酒の銘柄まで、どうやって取材したのだろうか。帰りに官僚が支払った金額まで書いているということは、迎賓館の内部に通報者がいるのだろうか。

 官僚たちが超高額な飲食の接待を受けた相手は、誰が見ても「利害関係者」である。元総務省官僚が山田たちをこう解説する。

「彼女のような国際担当の総務審議官は通信や放送の対外業務を担当しています。NTTグループの利害に直結する5Gや日米の通信行政なども担当する立場です」

 谷脇は「携帯電話を値下げしろ」と菅のお先棒を担いでいるのだから、NTT側にとっては最重要人物であろう。

 それを重々承知の上で、利害関係者である企業のトップたちの出す料理や酒をよく飲めるものだと、変に感心してしまう。

 文春にいわせれば、山田を切ることが遅れたのは、谷脇を守るためだったというのだ。

 山田が高額接待で職を追われれば、合計12万円もの接待を受けた谷脇への風当たりが強まるから、菅は何としても山田を続投させたかった。

 2月24日に谷脇は減給という懲戒処分を受けている。総務省のナンバー2だが、今夏の事務次官就任はなくなった。だが、まだギリギリ次官への道はあるというのだ。

 政治部記者によると、谷脇が62歳の定年を迎えるのが来年の9月11日。懲戒処分を受けた谷脇が昇任可能になるのは来年の8月24日。次官になって、定年延長すればいいから、処分を急いだのではないかというのである。

 姑息な手段を考えることでは天下一品の官僚たちだから、あながち否定はできない。

 だが、谷脇は3月1日の衆院予算委員会で、立憲民主党の森山浩行衆院議員から、「東北新社以外の衛星放送各社、民放やNHK、あるいは通信会社の社長から接待を受けたことがあるか」と問われ、「公務員倫理法に違反する接待を受けたということはございません」と答弁しているのだ。

 文春はこう断言する。

「NTTはNTT法によって規定され、事業計画や取締役の選任などは、その都度、総務相の『認可』が必要になる。総務省幹部にとってNTTの社長である澤田氏が利害関係者であることは論を俟たない」

 この報道を受け、NTT側が接待の事実を認めたため、総務省は人事院の国家公務員倫理審査会に調査の開始を通知したという。菅首相の頼みの谷脇も辞任に追い込まれるのではないかと思ったら、案の定、8日付で大臣官房付に更迭されてしまった。

 菅も庇い切れなかったのだ。

 菅の頼みの五輪開催も、海外からの観光客は受け入れないことが決まったようである。インバウンドの来ない五輪ではやる意味はないはずだ。コロナの切り札であるワクチンも絶対数が足りないことが判明した。

 外堀も内堀も埋められ、あと残っているのは菅の辞任だけではないのか。春間近というのに、菅の周りの景色は秋から冬のようである。(文中敬称略)

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