なぜお笑い芸人はお笑いを語るようになったのか?「お笑いを存分に語る」ブーム到来の理由
#お笑い #バラエティ #笑福亭鶴瓶 #アメトーーク! #ゴッドタン
お笑い業界において、ここ数年で大きく変化したと感じる事がある。それは芸人がテレビやメディアで、他の芸人やお笑いそのものについて語る番組が増えたという事だ。
2020年、人気の長寿番組である『アメトーーク』(テレビ朝日)では、コンビのツッコミがほかのツッコミ芸人の凄さを語る「ツッコミ芸人が選ぶこのツッコミが凄い」という企画や、芸人が好きな芸人の魅力やテクニックを解説する「芸人大好き芸人」という企画が放送された。
また、『ゴットタン』(テレビ東京)では「お笑いを存分に語れるBAR」という人気企画があり、この傾向がもっと露骨に表れている。先月2月13日には第6弾が放送され、ゲストの芸人も交えて昨年のお笑い界についてディープなお笑い談議を繰り広げられた。
笑福亭鶴瓶師匠がMCを務めるトーク番組『巷の噺』(テレビ東京)でも、それまでは大御の芸人が出演することはあったが、19年頃から中堅芸人が出演し、芸人としての持論やプライベートな話を披露している。
芸人がプライベートを暴露するような番組は昔から存在していたが、真面目に語ったり、ほかのお笑いや芸人を分析して自分の見解を述べる番組は、ほとんど無かった。
お笑い番組=芸人がネタをしたり、ふざけたり、とにかく笑いを中心とした番組であった。その理由としては、芸人が笑い無しでトークをするのはディープなファン以外の視聴者からの需要はなく、さらには芸人自信が手の内を明かすことへの抵抗や素を見せる恥ずかしさなど、さまざまな理由があったと考察するが、現在はそういったコンテンツが番組として立派に成立しているのだ。
何故そうなったのか?
僕が思うに、芸人自体は何も変わってはいない。いつの時代も視聴者の望んでいること、喜ぶことをお茶の間に届けるのが基本である。以前のコラムでも述べた通り、これは「芸人への需要が変化した」と言わざるを得ない。視聴者は昔の芸人があえて隠してきた素顔やネガティブな部分、芸に対しての情熱や信念などを求めているのだ。
現に10年前にコンビを解散し芸人を引退した僕が、かつての同業者であった芸人や現在のお笑い界についてコラムを掲載させてもらうなど、夢にも思わなかった。
世間が芸人についてのイメージを述べるときに、一昔前ならリアクションやどんなネタをするか等”芸風”についての話題が中心だった。
ところが現代の”イメージ”には、芸人の性格も含まれている。画面から伝わる器用さ、破天荒さ、そして面白さ。もちろんどれも大切だが、ほとんど視聴者が惹きつけられる理由と言っても過言ではないのは「笑いに対しての真面目さ」だ。
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