「堂々としてれば平気!」江口のりこが魅せる、母の強さと女のたくましさ『俺の家の話』
#長瀬智也 #宮藤官九郎 #俺の家の話
宮藤官九郎が脚本を手がける『俺の家の話』(TBS系)の評判が上々だ。能楽師で人間国宝、そして要介護の観山寿三郎(西田敏行)を父に持つ“観山家”でのあれやこれやを描いた『俺の家の話』。観山家にはプロレスラーの長男・寿一(長瀬智也)をはじめ個性的な家族が勢ぞろいしており、回を追うにつれて、登場人物それぞれの人間らしく愛おしい一面が見えてきている。
なかでも注目が高まっているのは、江口のりこ演じる観山家の長女・舞だ。ラッパー兼ラーメン店経営者のO.S.D(秋山竜次)と結婚し、塾講師として働いているが、今でも能の稽古は続けている舞。というのも、女性というだけで観山家を継げないことに劣等感を抱いており、息子の大州(道枝駿佑)が跡継ぎとなってくれることを密かに願っているのだ。
最初はお金の話や大州を跡継ぎにすることばかりで利己的な女性に見えた舞だが、寿三郎の介護や家族とのやりとりのなかで、“母の強さ”や“女のたくましさ”が次第に見えてきた。
そのひとつが第6話の、旅行先のスパリゾートハワイアンズで寿三郎を介助しながら温泉に入れるシーン。寿限無(桐谷健太)と踊一(永山絢斗)が寿三郎の体を支えて男湯の湯舟まで移動する中、舞は寿三郎の行く先に滑り止めマットをひいていく。舞の息子・大州(道枝駿佑)が「いいのかよここ男湯だぞ」と言うと、舞は「堂々としてれば平気!」と真顔で言い放ち懸命にマットを移動し続けるのであった。
また、その日の夜のこと。近頃、能よりもダンスに没頭している大州に、能を続けるのかどうか問いかける舞。はっきりと答えない大州に「一回やめてみるのもありだと思うけどね」「またやりたいなと思ったら、能やれば」とやさしく言い、大州が「能辞めても俺の居場所あるかな」と不安げに言うと「当たり前でしょバカ言うんじゃないわよ」と力強く言った。
舞は幼い頃から、「自分はどんなに頑張っても宗家の跡継ぎにはなれない」という事実と向き合ってきた。そのどうしようもない劣等感は、歯がゆく、苦しいものだったに違いない。大州を跡継ぎにさせたいという気持ちも、“エゴ”の一言では片づけられない複雑な感情が背景にあったはず。それでも舞は、息子の大州が葛藤する姿を見て、長年の願いを手放すことに決めたのだ。
そして、男湯で「堂々としてれば平気!」と言い放つ舞の姿は、たくましい女性そのものだった。母親を見ていて思うが、女性というのはいざという時に本当にたくましい。何かと常識人な舞だが、家族旅行に行くと決めたときから腹をくくっていたのだろう。“堂々としてれば平気”というのも、観山家での立ち位置に悩んできた舞だからこそわかったことなのかもしれない。
そんな、登場人物全員が愛おしい『俺の家の話』は、3月5日今夜10時から第7話が放送される。今日はどんな人間模様が見られるのだろうか。放送を楽しみに待ちたい。
■番組情報
金曜ドラマ『俺の家の話』
TBS系/毎週金曜日22時~
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、桐谷健太、西田敏行、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村 仁成(ジャニーズJr.)ほか
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未、佐藤敦司
音楽:河野伸
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/oreie_tbs/
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